演題

ME-A-10-1

左胃動脈神経叢より発生し,腹腔鏡下で切除し得た神経鞘腫の1例

[演者] 東海 竜太朗:1
1:富山市立富山市民病院 消化器外科

症例は42歳,女性.腸炎のため当院救急センター受診した際の腹部単純CT検査で, 胃小彎側にlow densityの腫瘤を指摘した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部小彎に胃粘膜下腫瘤様の隆起を認め, 造影CT検査で,左胃動脈,脾動脈に接して26mm大の早期に辺縁が造影される腫瘤があり,MRI検査ではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,造影MRI検査では早期に辺縁部が濃染,その後徐々に中心部に濃染域が拡大する所見を認め神経鞘腫を疑った. EUSでは,腫瘤内部はモザイク状, 糸状のflowを認め,腫瘤は胃壁外にあり,後腹膜もしくは小網内に発生した神経鞘腫と考えた.FNAによる生検ではspindle cellを認め免疫染色でS-100陽性であり神経鞘腫と診断した.手術目的に外科転科し腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.手術は5ポートで行った.腫瘍は左胃動脈神経叢と連続しており,同神経叢由来の神経鞘腫と考えた.それ以外の部位では周囲との剥離は容易であった.術後病理検査では,腫瘤は被膜で包まれており,束状の配列傾向とmyxomatousな変性像,出血や血管拡張像を認め,AntonitypeBの神経鞘腫と診断した.被膜部には末梢神経神経束を認め,腫瘤が左胃動脈神経叢と連続していることに矛盾しない所見を得た.術後経過は良好で術後5日目に退院となった.
神経鞘腫は良性腫瘍であるとされる.発生部位として全身の様々な部位に発生するが本症例は後腹膜からの発生と考えた.後腹膜の神経鞘腫は主に頭頸部・体幹・四肢に好発し,後腹膜の発生頻度は0.7-2.7%と非常に稀である.後腹膜由来の中でも骨盤腔内,腰椎,腰神経周囲,腎周囲からの発生が多く,腹部の交感神経由来は非常に少ない.その中でも具体的には発生として腹部交感神経幹由来,腹腔神経叢由来,総肝動脈神経叢由来,上腸間膜動脈神経叢由来,下腸間膜動脈神経叢由来などの報告があるが,左胃動脈神経叢由来は1例のみで非常に稀と考えた.今回腹腔鏡下に切除し得た左胃動脈神経叢に発生した神経鞘腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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