演題

WS10-8

新規抗癌剤は切除不能膵癌のconversion surgery施行率を向上させるか?conversion rateと手術成績を中心に

[演者] 夏目 誠治:1
[著者] 清水 泰博:1, 千田 嘉毅:1, 伊藤 誠二:1, 小森 康司:1, 安部 哲也:1, 三澤 一成:1, 伊藤 友一:1, 木下 敬史:1, 植村 則久:1
1:愛知県がんセンター中央病院 消化器外科

【背景】切除不能膵癌に対して新規抗癌剤(FOLFIRINOX; FFX,GEM+nab-paclitaxel; Gnp)は高い抗腫瘍効果が報告されているが,これらの使用がconversion surgery(CS)施行率の向上に寄与しているかは不明である.またCSの手術成績や予後に与える影響についても報告は少ない.
【目的】① 新規抗癌剤導入によりCS施行率(conversion rate; CR)が向上したかを検討する.② CSの手術成績と予後を検討する.
【対象】2012年1月から2016年7月までに当院で治療開始した切除不能膵癌 378例.
【方法】① 1stライン治療としてFFXあるいはGnpを投与された新規抗癌剤群(A群)と従来抗癌剤群(B群)の間でCRを比較した.②CS施行例の手術成績を検討した.またCS施行例の予後をCS非施行例と比較した.
【結果】① A群(n=131)は主に2014年以降,B群(n=247)は2013年以前の症例であった.CSは13例に行ない,全体(n=378)でのCRは3.4%であった.9例がA群,4例がB群であり,A群において有意にCRは高かった(A群; 6.9%, B群; 1.6%, p=0.014).局所進行(M0)症例と遠隔転移(M1)症例に分けて検討すると,M0ではA群34例中4例,B群58例中2例に,M1ではA群97例中5例,B群189例中2例にCS施行しており,いずれもCRはA群において高率であったが,M1症例において統計学的有意差を認めた(M0; 11.8% vs. 3.4%, p=0.189, M1; 5.2% vs. 1.1%, p=0.047).② 治療開始からCS施行までの期間の中央値 216日.術式はDP; 9例(うちDP-CAR; 5例),PD; 4例であり,門脈再建を6例,肝動脈再建を2例,肝切除を2例に併施した.手術死亡はなく,手術時間,出血量,術後在院日数の中央値は422分,810ml,31日であった.R0切除は12例(92.3%)で達成した.Evans分類におけるgrade2b以上の治療効果を7例(53.8%),pCRは3例(23.1%)に認めた.術後補助療法は,12例(92.3%)に施行した(S1; n=7, GEM; n=2, Gnp; n=2, CRT; n=1).術後観察期間中央値428日で,再発を4例,死亡を1例に認めた.治療開始日から起算した全生存期間はCS非施行例と比較して有意に良好であった(p=0.001, HR=0.041).
【結論】新規抗癌剤導入に伴いCS施行率は向上した.CSは安全に施行できており,切除不能膵癌の予後改善に寄与する可能性が示唆された.
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