演題

消化器外科関連分野のNCDの現状と展望

[演者] 宮田 裕章:1
[著者] 掛地 吉弘:2, 今野 弘之:2, 後藤 満一:2, 岩中 督:3, 瀬戸 泰之:2,3
1:慶應義塾大学医学部 医療政策管理学教室, 2:日本消化器外科学会, 3:一般社団法人National Clinical Database

本報告では情報革命,ICT革命,情報爆発,ビッグデータなど言葉を変えながら数十年にわたってイノベーションストリームを形成してきた情報・ コミュニケーションを軸に,消化器外科分野の今後の発展可能性について検討する.近年AI/IoTの観点からデータベースの活用が進み,消化器外科領域を取り巻く環境が急激に変化している.病理学会や放射線医学会,消化器内視鏡学会が連携して取り組むAIの活用を前提にした画像診断データベース(Japan excellence of Diagnostic Imaging; JEDI)の構築,心臓血管外科学会が取り組みを進める医療の質向上を目的とした遠隔コンサルティングシステムの成果,乳癌領域が新たにはじめる患者さんと連携した新しいNCDの活用,このような最先端の取り組みを紹介しながら,消化器外科分野におけるNCDの今後の発展可能性について,展望する.日本は医療・福祉を含む社会システムにおいて,大きな転換点を迎えている.かつて高度経済成長をもたらした,「多数の労働人口で少数の高齢者層を支える」人口構成を前提とした社会保障制度を基礎に,世界トップランクに位置する長寿国となった.しかし今後,世界でも経験のないスピードで高齢化が進み,さらに人口減少と産業成長の鈍化に伴い,社会システム自体が,従来の枠組みの延長線上でのマイナーチェンジだけでは,成立することが難しくなってくるだろう.こうした課題への挑戦は,単にネガティブな側面ばかりではない.例えば「団塊の世代」が医療・福祉を必要とする超高齢社会の初期段階においては,公的・私的を問わず多くの資金が医療福祉分野に投入されるため,雇用の創出,人々の暮らしを支える技術やシステムのイノベーションなど,次の日本を支える新しい活力を生む可能性がある.また先進国やアジア諸国も日本と同様の問題に直面することが予想されるため,日本の動向に大きな関心を寄せている.日本の課題は将来のグローバルな課題にもつながるため,日本が世界に先駆けて解決策を示す役割が期待されている .
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