演題

ME-B-8-5

当院で経験した内胆汁瘻による胆石イレウスの二例

[演者] 新田 朋彦:1
1:九州中央病院 外科

【背景】胆石イレウスは内胆汁瘻を原因として発症する稀な疾患であるが,内胆汁瘻に対しては一期的切除,二期的切除あるいは自然閉鎖を期待して経過観察と一定の見解はない.また,内胆汁瘻は胆のう癌の原因にもなり得ることも念頭におく必要がある.今回我々は二例の胆石イレウスを経験したので報告する.
【症例】①76歳,女性.繰り返す嘔吐を主訴に当院救急搬送となり,精査の結果十二指腸水平脚に結石を認め,閉塞起点となっていた.また,胆のう十二指腸瘻を認めた.内視鏡下に採石を試みるも困難であり,イレウス管挿入による経過観察にて小腸まで移動するも,自然排泄困難と判断し小腸切除術による結石摘出を行った.術前精査で胆のう癌を疑う所見は認めず,胆のう十二指腸瘻の自然閉鎖を期待して胆のう摘出は行わなかった.その後外来で胆のう周囲膿瘍を来し,入院の上精査加療を行った.上部消化管内視鏡検査で胆のう十二指腸瘻は閉鎖傾向であったが,下部消化管内視鏡検査では横行結腸にも胆のうとの瘻孔が疑われた.ERCPで総胆管は高度に狭窄,十二指腸との瘻孔形成を認めた.炎症が鎮静化した後に,胆のう摘出術,横行結腸切除術,胆管空腸吻合術,十二指腸瘻孔閉鎖術を行った.病理検査では,深達度SSの胆のう癌の診断であった.全身状態から追加切除は行わず経過観察中である.
②84歳,女性.繰り返す嘔吐を主訴に当院救急搬送となり,精査の結果十二指腸下降脚に結石を認め嵌頓していた.また胆のう十二指腸瘻を認めた.内視鏡下に採石困難であり,入院翌日に手術を行った.胆石は空腸まで移動しており,空腸を切開し,結石摘出術,胆嚢摘出術,十二指腸瘻孔閉鎖術を行った.炎症による癒着はみとめたが術中は問題なく経過した.術後経過良好であり,病理検査で悪性所見は認めなかった.
【結語】胆石イレウスの二例を経験した.胆のう癌の原因になり得ることや瘻孔閉鎖による胆のう炎悪化の可能性があり,内胆汁瘻を原因とした胆石イレウスは可能であれば,一期的切除を積極的に検討してもいいのではないかと考えられた.当院で経験した二例を文献的考察を加えて報告する.
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