演題

WS10-7

切除不能膵癌に対するConversion Surgeryの意義

[演者] 吉富 秀幸:1
[著者] 清水 宏明:1, 古川 勝規:1, 高屋敷 吏:1, 高野 重紹:1, 久保木 知:1, 鈴木 大亮:1, 賀川 真吾:1, 宮崎 勝:1,2, 大塚 将之:1
1:千葉大学大学院 臓器制御外科学, 2:国際医療福祉大学三田病院 外科・消化器センター

【目的】化学療法の進歩に伴い,切除不能膵癌に対するConversion Surgery (CS)の報告が散見されるが,その意義については一定の見解がない.当院におけるCS症例をRetrospectiveに解析し,その意義を検討する.
【対象】2006年から2015年に当初切除不能と診断され,化学(放射線)治療(NAT)後に当院で外科切除を行った43例.局所進行にて切除不能であった症例(LA)と遠隔転移にて切除不能であった症例(M)に分けて検討.
【結果】年齢中央値: 63歳(38-80歳),性別 M/F: 20/23,腫瘍主座 頭部/体尾部: 24/19,LA/M: 34/9例,NAT 化学療法/化学放射線療法: 32/11例.LAとMの比較では,年齢,性別,腫瘍主座には有意差無し.NAT開始からCSまでの期間中央値はLA/M: 7.3/14.8mでLAが有意に短い.NAT開始後と手術後の全生存期間はどちらもLAとMの間に有意差を認めない.
M例の検討:切除不能と判断された際の遠隔転移部位は肝転移(6例),肺転移(2例),腹膜播種(1例).全例でCT上転移がほぼ消失したため切除.CS後の2年生存率は76.2%(観察期間中央値 18.1m).肝転移例とそれ以外の症例の生存期間,術後無再発生存期間は両者で有意差なし.
LA例の検討:LA例のCS後生存期間中央値,2年生存率は22.1ヶ月,43.2%であった.LA 34例のCS後生存期間を各因子別に比較すると,NAT開始後CSまでの期間(8ヶ月以上vs.未満),NAT後CA19-9値(100U/ml未満vs.以上),NAT前後のCA19-9減少率(70%以上vs.未満),画像上腫瘍縮小効果(CR or PR vs. SD),動脈合併切除の有無ではそれぞれの間に有意差を認めなかったが,R0(17例)またはR1(12例)と,R2(5例)の比較ではCS後全生存期間中央値,2年生存率がそれぞれ,24.5m, 57.3%と14.3m, 0%であり,R2例は有意に予後不良であった(p=0.01).
【結語】M例の予後が比較的良好であったことから,遠隔転移例でも化学療法により画像上遠隔転移がほぼ消失する症例に対しては主腫瘍に対する外科切除の意義はあると考えられた.切除不能局所進行膵癌でもNAT施行後に切除が可能と判断された時点でCSを行う意義がある.どの時点で切除を考慮するかについては多施設の症例をまとめて検討する必要がある.
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