演題

ME-B-8-3

胃全摘,Roux-Y再建術後に総胆管結石の急速な増大を認め緊急手術を施行した1例

[演者] 藤森 大智:1
1:脳神経疾患研究所附属総合南東北病院 外科

症例は80歳の男性.2011年5月に胃癌に対して胃全摘,Roux-Y再建術が施行された.2016年3月に経過観察目的の腹部造影CTで総胆管の軽度拡張と総胆管下部に3mm大の高吸収結節影が認められた.総胆管結石症が疑われたが,無症候性であり経過観察された.2016年9月に腹痛,発熱で当院救急外来を受診し,腹部CTで総胆管内に10mm大の結石を多数認められ,総胆管,肝内胆管は著明に拡張していた.血液検査では炎症反応及び胆道系酵素上昇,肝機能障害が認められ,総胆管結石による急性化膿性閉塞性胆管炎と診断し緊急手術が施行された.右肋骨弓下切開で開腹し,総胆管を切開し結石を摘出した.結石は10mm程度の混合石で,5つ摘出された.胆道鏡で胆管内を観察し,結石残存がないことを確認し,T-チューブを留置した.術後14日目にT-チューブより造影検査を施行し,総胆管から十二指腸への胆汁排泄が悪く乳頭機能不全と考えられた.胆汁うっ滞による総胆管結石の再発予防のために術後19日目に透視下でT-チューブを経由し,十二指腸乳頭部をバルーンで拡張し,その後胆汁の十二指腸への流れは良好となった.術後33日目にT-チューブを抜去し,術後39日目に軽快退院した.
自験例では胃全摘術後5年目に3mm程度の総胆管結石を認めたが,内視鏡的アプローチが困難なことから経過観察された.その後半年の経過で結石が急速に増大し閉塞性化膿性胆管炎を来たした.高齢者の緊急手術であり結果的としてリスクの高い手術となった.また術後に乳頭機能不全がみられたため,乳頭部のバルーン拡張を行い,現在までに総胆管結石の再発はなく経過観察中である.
胃全摘後の経過中に胆嚢結石および総胆管結石の発生はしばしば認める病態であり,Roux-Y再建のため内視鏡的にVater乳頭にアプローチすることは困難なことが多く,無症状であれば本症例のように経過観察せざるを得ない.一方で総胆管結石による閉塞性化膿性胆管炎は重症化すると致命的となる病態であり注意が必要である.また,一般に総胆管結石症に対して内視鏡的バルーン拡張を行った場合,長期的に胆道結石の再発が減るとの報告がありものの,自験例の様に胃全摘後の総胆管結石に対する乳頭処置後の長期予後については一定の見解がなく,今後は慎重にフォローアップしていく必要がある.
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