演題

ME-B-8-2

限局性結節性過形成(FNH)術後に再発増殖し肝不全で死亡した一例 -切除肝・病理解剖をふまえて-

[演者] 岩橋 祥子:1
1:和歌山医療センター 初期臨床研修

【症例】40代・男性
【現病歴】2009年3月,肝左葉の巨大腫瘍を指摘され,前医での生検結果は高分化型肝細胞癌 (HCC) 疑いであった.
【既往歴】門脈低形成 (SMV-IVCバイパス術後),左右肺動静脈瘻(塞栓術後)
【血液検査所見】Alb 3.7 g/dl,T-Bil 1.8 mg/dl,AST 82 IU/l,ALT 71 IU/l,PT 活性114.4 %,ICG15分値 28.2 %,Ⅳ型コラーゲン 420 ng/ml,ヒアルロン酸 75.1 ng/ml,Plt 26.2万,AFP 91 ng/ml,AFP-L3% 11.9 %,PIVKA-II 187 mAU/ml,CEA 2.3 ng/ml,CA19-9 33 mAU/m ,HBS-Ag(-),HCVAb(-)
【画像所見】腫瘍は単発性の左葉全体を占拠する径15cm大の巨大腫瘍.造影CTでは,内部に中心瘢痕を疑わせるような一部壊死を伴い,早期相では内部が分葉状に造影され,後期相では正常肝組織と同等の造影効果であった.造影EOB-Gd-MRI上,腫瘍辺縁はEOBの強い取り込みを認め,内部はやや取り込み低下を認めた.
【手術】高分化型HCC疑いにて,拡大左葉切除術を施行.
【病理組織診断】限局性結節性過形成 (FNH) の辺縁部に,より異型の強い病変を伴っており,異型の強い部は明らかな浸潤像を認めないものの,HCC markerであるGlypican-3は強陽性を示していた.ただし,他のHCC marker(Glutamine synthetaseやHSP70)は陰性であり,β-cateninの核移行も確認できず部分的に悪性転換を伴ったFNHと診断された.
【経過】術後4年でS1に肝腫瘍出現し徐々に増大傾向認め,術後7年目には多発し,最終的には肝不全で死亡した.病理解剖において,前回切除病変と同様FNH様の像を呈し,背景病変として高度のNRH (nodular regenerative hyperplasia)を伴っていた.明らかなHCCの所見は認めなかった.
【結語】部分的に悪性転換を伴ったFNH術後に,同様の病理像で再発増殖し最終的に肝不全で死亡した一例を経験した.
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