演題

WS10-6

切除不能膵癌に対するadjuvant surgeryの有用性

[演者] 中村 透:1
[著者] 浅野 賢道:1, 岡村 圭祐:1, 土川 貴裕:1, 野路 武寛:1, 中西 喜嗣:1, 田中 公貴:1, 七戸 俊明:1, 平野 聡:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅱ

【背景】近年の化学(放射線)療法の進歩はめざましく,切除不能膵癌の中でも,非手術療法奏効例に対するadjuvant surgery/conversion surgeryに関する報告が散見される.【目的】教室で施行した切除不能膵癌に対するadjuvant surgeryの成績を検討する.【対象と方法】2007年7月~2016年12月に非手術療法後,根治切除を施行した切除不能膵癌32例を後方視的に解析した.非手術療法は6ヶ月以上施行し,治療効果判定でSD/PR/CRの症例に対し切除の可能性を再評価した.治療前の画像診断で認めた腫瘍存在部位は,原則として切除範囲に含めた.【結果】男性15例,女性17例.年齢中央値64歳(43-80歳).切除不能因子は局所進行が24例,遠隔転移が8例(肝転移5例,大動脈リンパ節転移3例,腹膜播種1例)であった.非手術療法は化学療法単独が20例,化学放射線療法が12例で,化学療法はGemcitabineあるいはS1をベースとしたものが25例,FOLFIRINOXが4例,Gem+nab-PTXが2例,PTXip併用療法が1例であった.術前治療期間は中央値9.5ヶ月(6-44ヵ月)で,効果判定はPR 21例,SD 11例であった.施行術式はSSPPD 11例,DP-CAR 8例,DP 6例,PD-CHAR 4例,TP-CAR 2例,PD-CHASAR 1例で,23例に門脈合併切除を併施した.R0切除は29例(90.6%) であり,Evans分類Grade IIb以上が19例であった.術後合併症を15例に認め,Clavien-Dindo分類IIIa以上は9例であった.手術関連死亡はなく,27例で術後補助化学療法を施行した.再発は16例(50%)にみられ,再発までの期間の中央値は12ヶ月(2-65ヵ月)であった.初回治療からの3年生存率,および5年生存率はそれぞれ69%,49%であり,手術療法からは44%,38%であった.初回治療後の生存期間中央値(MST)は48ヶ月であり,手術療法後のMSTは31ヶ月であった.切除不能因子別の検討では,遠隔転移群のMSTは27ヵ月で,局所進行群の63ヵ月に対し有意に予後不良であった(p=0.03).また遠隔転移群の初回治療からの5年生存例は1例のみであった.【結語】切除不能膵癌の非手術療法奏効例に対するadjuvant surgeryは予後を改善する可能性が示唆された.特に局所進行例に対しては長期生存が期待できるが,遠隔転移例には期待できない.
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