演題

ME-A-8-6

出血性ショックによる腸管虚血を契機に発症した限局性の非閉塞性腸管虚血(NOMI)に緊急手術を施行した一例

[演者] 坂本 あすな:1
1:香川大学附属病院 消化器外科

今回,出血性ショックを契機に発症した非閉塞性腸管壊死(NOMI)に対し,回盲部切除,小腸部分切除を行い,良好な経過が得られた一例を経験したので症例提示する.
【症例】50歳代男性,糖尿病性腎不全のため血液透析導入中の患者.自宅にて左前腕の動静脈シャントを皿の欠片で損傷し大量出血,意識消失しているところを家族に発見され,近医に救急搬送された.近医にてシャント損傷部の圧迫止血と出血性ショックに対する治療(細胞外液,血漿増量剤,赤血球輸血)が行われ意識レベルは回復.しかし,翌日,腹痛と筋性防御が出現.腹部造影CT検査では,骨盤内腸管の造影不良,壁内気腫,一部壁外のfree airと腹水を認め,腸管壊死や穿孔に伴う腹膜炎が疑われ,外科的治療目的に当院当科紹介となった.当院にて再度造影CT検査を施行したところ,前医同様に小腸壁の造影不良,壁内気腫,腹水を認めたが,明らかな血栓は認められなかった.出血性ショックによる虚血とそれに伴う小腸壊死と診断し,同日緊急手術となった.
【手術所見】上腹部正中切開にて開腹したところ,小腸壊死の所見と膿性の腹水を認めた.トライツより約310cmから回盲部口側10cmのところまでの約100cmの回腸が壊死していた.壊死部回腸を切除したところ,口側腸管の粘膜は問題なかったが肛門側腸管の粘膜は色調が不良であったため,追加切除が必要と判断.回盲部を授動し,回結腸動脈のアーケードが残るように血管を処理し,回盲部切除を行った.吻合はFunctional End to Endで行い,骨盤底にドレーンを挿入,手術を終了した.切除組織の病理所見は,粘膜上皮の脱落・萎縮,腸管壁の浮腫・血管拡張,固有筋層の壊死といった腸管壁の虚血性変化に矛盾しない所見が認められ,非閉塞性腸管虚血(NOMI)と診断された.
【術後経過】ICUにて術後管理を行い,全身状態は順調に改善.腎臓内科にて反対側(右前腕)に内シャントを作成し自宅退院となった.(804文字/1000)
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