演題

ME-A-8-4

小腸・S状結腸に同時に絞扼性腸閉塞をきたした1例

[演者] 金田 友里恵:1
1:名古屋第一赤十字病院 一般消化器外科

小腸・S状結腸に同時に絞扼性腸閉塞をきたした1例
金田友里恵,毛利康一,湯浅典博,竹内英司,後藤康友,三宅秀夫,永井英雅,吉岡裕一郎,奥野正隆,宮田完志
はじめに:絞扼性腸閉塞は様々な機転により発生し,その診断にも課題のある病態である.今回我々は2カ所の腸係蹄に同時に絞扼性腸閉塞をきたした症例を経験した.同様の症例の報告は極めて少ないため,その成り立ちに考察を加えて報告する.
症例: 83歳男性で,既往に心房細動,心不全,左下肢動脈血栓症,急性虫垂炎がある.2016年8月,下腹部痛,嘔吐,腹部膨満感を主訴に当院を受診した.意識清明,脈拍: 63回/分,血圧104/82mmHg,体温36.4℃であった.腹部は膨満し,全体に圧痛を認めたが,筋性防御,腹膜刺激症状を認めなかった.血液検査所見では,CRP0.26mg/dl,白血球14000/dl,Hb 13.5g/dl,Crtn 1.76mg/dl,eGFR 29.4,BUN 33mg/dl,
血液ガス分析(pH 7.38,PaO2 42.7mmHg, PaCO2 38.8mmHg, BE -2.3, Lactate 5.8mg/dl)と軽度の炎症反応の上昇,腎機能低下,乳酸値上昇を認めた.腹部単純X線写真では小腸と結腸にガスによる拡張を認めた.単純CTでは拡張した小腸・結腸と中等度の腹水を認めたため,絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した.開腹すると大量の血性腹水を認め,広範囲の中部小腸と一部のS状結腸の色調が不良であった.S状結腸と左側後腹膜の間に1本の索状物が形成され,この索状物とS状結腸・後腹膜で形成された裂隙内に小腸が約80cm嵌入していた.また,この索状物を軸にS状結腸が捻転を起こしていた.索状物の切除により小腸の絞扼,S状結腸の捻転は解除されたが,解除後もその色調は回復しなかったので,小腸を80cm(トライツ靭帯から80cm肛門側~回腸末端から120cm口側),S状結腸を15cm切除し,吻合した.術後経過は良好で,術後18日目に退院した.
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