演題

WS10-5

切除不能膵癌に対するConversion surgeryを念頭においた放射線化学療法

[演者] 岡林 雄大:1
[著者] 志摩 泰生:1, 住吉 辰朗:1, 上月 章史:1, 齋坂 雄一:1, 須井 健太:1, 寺石 文則:1, 尾崎 和秀:1, 渋谷 祐一:1, 高田 暢夫:1
1:高知医療センター 外科

「はじめに」膵癌の治療では外科切除が唯一根治を期待できる治療法であるが,診断時に局所進行,遠隔転移などの理由で切除適応外となる割合が多い.局所進行切除不能膵癌に対する化学放射線療法の有用性については未だ議論がある.
「対象と方法」高知医療センターで経験した局所進行切除不能膵癌に対した施行された治療を化学療法単独と放射線化学療法で比較し,放射線化学療法の有用性について検討した.局所進行切除不能膵癌はNCCNのガイドラインに沿って定義した.化学放射線治療のレジメ:放射線照射は総線量50Gy(2Gy×25日)で,その間S-1(2週投薬1週休薬)による抗がん剤治療を内服させている.
「結果」高知医療センターにおいて,2005年から2015年までの期間に1168人の膵癌患者を診療した.その内,93例(8.0%)の遠隔転移を伴わない局所進行切除不能膵癌を対象とした.93症例全体の1年,3年,5年生存率はそれぞれ47.2%,15.5%,9.3%であった.93例に対して化学放射線療法が導入され35症例において,腫瘍縮小効果が認められ根治切除が可能となった(切除率37.6%).治療期間中に58症例においては,肝転移(31例)・腹膜播種(26例)・リンパ節転移(6例)・局所増大(4例)・肺転移(2例)の出現で根治切除に至らなかった.根治切除に至らなかった58症例の生存中央値は8か月であった(3年生存率:0%).外科切除可能となった内85.7%の症例でR0の手術が施行し得た.局所進行切除不能膵癌に対して根治切除し得た患者での1年,3年,5年生存率はそれぞれ71.3%,39.2%,23.5.8%と長期生存例も得られた.化学放射線治療を行った症例は癌の進行が高度であるにもかかわらず,同時期に経験した術前治療が行われていない切除可能膵癌271例との臨床病理学的結果の比較において,リンパ節転移の頻度が有意に低かった.サブグループ解析において,化学放射線治療前後での血清CA19-9値の低下が切除可能となる指標であることが示唆された.
「結語」局所進行切除不能膵癌に対しての化学放射線治療が奏功し切除可能な状態になっているかどうかの画像診断は非常に困難であり,まだ確立されていない問題点ではある.局所進行切除不能膵癌に対しての化学放射線療法は,外科切除が可能となり膵癌外科治療成績の向上につながると考えられた.
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