演題

ME-A-8-3

開腹既往のない若年男性に認めた絞扼性イレウスの1例

[演者] 本郷 智拡:1
1:岡山赤十字病院 外科

【はじめに】開腹既往のない絞扼性イレウスは比較的稀である.今回われわれは開腹既往歴がなく,かつ若年男性にみられ診断に苦慮した絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.
【症例】患者は19歳男性.就寝中に突然の腹痛を自覚し近医を受診し,急性腹症の診断で当院救急外来へ紹介となった.開腹既往なし.意識清明,血圧141/96mmHg,脈拍数62bpm,体温37.0℃とvital signは落ち着いていたが,腹部所見は臍部に強い圧痛,反跳痛を認めた.血液検査はWBC 8200/μl,CK252U/lと軽度上昇がみられたがCRP 0.03mg/dlと正常であった.腹部造影CT検査ではclosed loopの所見は明らかではなかったが空腸がやや拡張し,腸内容物の貯留を認め,同部位の小腸間膜に軽度脂肪織の混濁があり,軽度の血流障害があり絞扼性イレウスが疑われたが拡張も軽度で腸管壁の造影効果も保たれて腹水の出現もなかったためまずは保存的治療を行った.経過をみていたが腹痛の改善がないために入院5時間後に手術を施行した.3ポートで手術を開始し,腹腔内を観察すると漿液性の腹水を少量認め,小腸間膜と大網に索状の癒着がみられそこに空腸が陥入し,絞扼性イレウスの状態であった.索状物を切離し,腸管の色調も改善したために切除することなく手術を終了とした.手術時間は1時間3分,出血量は少量であった.術後1日目から飲水を開始し,術後2日目から食事を開始した.術後経過良好で術後4日目に退院した.
【結語】開腹既往のない若年男性に認めた絞扼性イレウスに対し腹腔鏡手術を施行した症例を経験した.絞扼性イレウスは開腹既往のある高齢者に多くみられるが開腹既往のない若年者においてもみられる場合もあり日常診療にて注意を要する.また,手術適応に苦慮する場合,腹腔鏡は低侵襲で有用であると考えられた.
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