演題

ME-A-8-2

コーラ溶解および内視鏡治療後に単孔式腹腔鏡下手術を施行した胃石イレウスの1例

[演者] 福本 侑麻:1
1:住友別子病院 外科

胃石イレウスは比較的稀な疾患であるが,近年ではコーラ溶解療法の有効性が認識され始めており,手術を回避できた 報告も散見される.今回我々は,胃内の胃石に対して溶解療法施行後に内視鏡的破砕・採石術を行い,イレウスの原因 となった小腸への落下胃石に対して単孔式腹腔鏡補助下手術で治療した1例を経験したため,文献学的考察を添えて報 告する.症例は30歳台男性.胃潰瘍による出血に対して前医にて内視鏡的止血術を施行されたが,術後にイレウスを来 したため精査を行ったところ,胃および小腸内に結石を認め,手術目的に当院紹介となった.患者は発症数ヶ月前から 大量の柿を摂取しており,これを契機として生じた柿胃石と考えられた.一旦イレウス管による減圧が得られたため, 胃内の結石に対して内視鏡下に破砕を試みたが困難であった.小腸内の結石に対しては手術が検討されたが残存結石の 落下が懸念されたため,それぞれの結石に対して経口および経イレウス管的にコーラ溶解療法を行い,胃内結石の除去 後にイレウスが残存していれば手術を行う方針とした.一日あたり2Lのコーラ摂取と1Lの注入が試みられたが,患者 が膨満感を訴えたため注入量を調整しながら6日間に渡り溶解療法を行った.上部消化管内視鏡を再試行すると胃内結 石の軟化がみられており,破砕・回収が可能であった.一方で経過中に小腸イレウスは解除されず,イレウス管造影を 行っても造影剤の流出を認めなかったため,翌日に単孔式腹腔鏡補助下手術を施行した.結石は小腸に嵌頓しており可 動性はほとんどなく,コーラの濃度がうっ滞した腸液で低くなり,暴露される面積も小さくなるため,小腸イレウスの 胃石の溶解は困難であると考えられた.小腸を切開して結石を摘出し,全小腸を検索して口側の落下残存結石を用手的 に切開部位から除去した後,手縫いで閉鎖した.低栄養とイレウスが原因と思われる腹水を吸引洗浄し,手術を終了し た.術後は合併症および再発なく経過している.胃石に対してのコーラ溶解療法は患者が許容できれば簡便な治療法で ある.しかし小腸内の落下胃石には効果が乏しい可能性があるため,この場合に内視鏡的治療と単孔式腹腔鏡下手術を 行うことは低侵襲で有効な手段であると考えられた.
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