演題

WS10-4

当初局所進行・切除不能膵癌における後続治療としてのConversion Surgeryの意義

[演者] 木村 康利:1
[著者] 今村 将史:1, 永山 稔:1, 山口 洋志:1, 河野 剛:1, 水口 徹:1, 竹政 伊知朗:1
1:札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座

背景; 近年,抗腫瘍療法の進歩により病勢制御が改善し,当初切除不能な膵癌にもconversion surgery (CS)が可能となる症例を経験する.しかし,集学的治療におけるCSの位置づけは未確立である.
目的; 画像診断にて当初局所進行・切除不能症例の治療内容,とくにCSの実態を明らかとする.
対象と方法; 当院全科横断的膵癌データベース(~2016年11月)に登録された受療膵癌727例を対象とし,画像診断にて遠隔転移を伴わない局所進行・切除不能膵癌(UR-LA)を後方視的に抽出した.1) UR-LAに対する一次・後続治療内容,2) CS移行率と手術内容,conversionに関連する因子,3) UR-LAの生存期間(OS)に寄与する因子とCSの意義,について解析した.
結果; UR-LA膵癌103例を抽出した.内訳は男/女性[53/50例],年齢[69歳, 37-89 (med,range)].
1) 1次治療は,化学放射線療法(CRT)/全身化療(CT)/動注化療(AI)/CT+ペプチドワクチン療法(Vac)/陽子線療法(PT)/ BSCが41/37/13/3/1/8例に行われ,CTレジメンはGem/S1/mFFX/GS/GnP[17/10/6/3/1例],治療期間141日(med,range;9-911)であった.2次治療に59例[CRT10/CT45/AI1/CT+vac1/PT2],3次治療に43例が移行した.
2) CSは3次以降の15例(14.6%)に適応され,手術前治療期間14.5M[med,4.7- 61.4]であった.術式はPDs/DPs/TP[8/6/1例],門脈/動脈/動門脈合切[5/3/5例,うち動脈再建3例],手術時間568分[342-1035],出血量275ml[20-2240],術後合併症[46.7%,CD≥3a],周術期死亡は無く,全例R0切除が達成され,Evans gradeはI/IIa/IIb/III/IV[2/3/5/2/3例]となった.年齢,PS,ASA,治療前CA19-9,HS-mGPS(High sensitive-modified Glasgow Prognostic Score, Proctor MJ 2013, CRP≤0.3mg/dl+Alb≥3.8g/dl=0; Alb<3.8=1; CRP>0.3=2; CRP>0.3+Alb<3.8=3)による重回帰分析では,CS移行に寄与する因子を同定し得なかったが,CS例は非手術例と比較して有意にPSが良好であった(p=0.0431).
3) 上記5因子に一次治療レジメンを加味した多変量(Cox比例ハザード)解析では,CS(なし; HR 3.64,95%CI1.42-9.38,p=0.007),HS-mGPS(2-3;HR 1.99,95%CI1.08-3.67,p=0.026)が独立予後不良因子となった.CSに至った症例の1次治療開始後OSは非手術症例に比較して有意に延長した(45.5 vs.15.6M,p= 0.003).
結語; 切除不能・局所進行膵癌には集学的治療後の根治切除により良好な予後を示す症例が含まれ,HS-mGPS(栄養と随伴炎症)がその指標となり得る.
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