演題

WS10-3

膵癌conversion surgeryはどのような症例に有用か?

[演者] 村上 義昭:1
[著者] 上村 健一郎:1, 近藤 成:1, 中川 直哉:1, 岡野 圭介:1, 岡田 健司郎:1, 大毛 宏喜:1, 末田 泰二郎:1
1:広島大学大学院 外科学

(目的)当科で施行してきた膵癌に対するconversion surgery症例を解析し,どのような症例にconversion surgeryが有用かを予後因子解析より検討した.(対象および方法)2009年より当科で受診時切除不能と診断され,化学療法の効果により切除可能と判断し切除術を施行した局所進行膵癌14例,転移を伴う膵癌7例(肝6例,腹膜1例)の21例(平均年齢64歳,男女比14:7)を対象とし,その生存率,予後因子などについて検討を行った.切除不能の基準は,NCCNガイドライン2.2016に従った. (結果) 化学療法はgemcitabine +S-1療法17例,FOLFIRINOX療法2例,gemcitabine+nab-paclitaxel療法2例が施行され(術前治療期間中央値5.7月),14例(67%)が画像上PR症例で,化学療法により血中CA19-9値の中央値は,257U/mlから17U/mlに低下し,腫瘍マーカーの正常化は10例(48%)に認められた.手術はPD10例,DPCAR7例,TPCAR1例,DP3例が施行され,門脈・動脈合併切除がそれぞれ15例(71%)に施行され,術後合併症は8例(38%)に認められたが,術後90日以内の術死は無かった.術後補助化学療法は,gemcitabine +S-1療法が14例(67%)に施行された.切除組織では,リンパ節転移は16例(76%)に認められ,原発巣のR0切除は12例(57%)で,50%以上の組織学的腫瘍壊死は4例(19%)のみであった.治療開始からの全症例の1・2・4年生存率,生存期間中央値(MST)は95%・67%・27%,27.4月で,術後1・2・4年生存率,MSTは79%・40%・27%,21.8月であった.全症例の予後因子解析では,単変量解析では,切除不能理由(局所または遠隔),術前治療期間,画像上化学療法奏効率,組織学的腫瘍壊死率,根治度などは予後と関連せず,術前治療後腫瘍マーカー正常化(p=0.024)のみが,有意な予後因子として抽出された(p=0.024).術前治療後腫瘍マーカー正常化症例(n=10),非正常化例(n=11)の治療開始後1・2・4年生存率,MSTは,それぞれ,100%・90%・38%,35.2月,89%・400%・0%,22.6月であった.(結語)膵癌に対するconversion surgeryは,特に術前治療後腫瘍マーカー正常化症例を中心に切除不能膵癌の予後向上に寄与する可能性があることが示唆された.
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