演題

WS10-2

膵癌取扱い規約による局所進行Unresectable(UR-LA)膵癌に対する手術を前提とした化学放射線療法の治療成績

[演者] 岸和田 昌之:1
[著者] 加藤 宏之:1, 村田 泰洋:1, 種村 彰洋:1, 栗山 直久:1, 安積 良紀:1, 水野 修吾:1, 臼井 正信:1, 櫻井 洋至:1, 伊佐地 秀司:1
1:三重大学附属病院 肝胆膵外科

【目的】 膵癌取扱い規約(第7版)では,解剖学的 (A:anatomical)な切除可能性分類としてresectable, borderline resectable(BR-PV,BRA), unresectable (UR-LA,UR-M)が定義された.最近では術前治療によりUR-LA症例でも切除例を認め,腫瘍病態的因子 (B:Biological factor)や,身体的因子(C:Conditional factor)なども治療方針に考慮すべきと思われる.当科では,局所進行 膵癌に対して手術を前提とした化学放射線療法 (CRT)プロトコールを作成している.今回,CRTを施行したUR-LA症例 において,治療導入時に判定可能なB・C因子と選択可能な化学療法に注目して検討した. 【方法】 2005年2月~2015年12月に細胞診/組織診にて腺癌と診断され,CRTが施行された261例中UR-LAの127例を対象とした. 化学療法はGEM (G, 2005.2~2011.9)もしくはGEM+S1 (GS, 2011.10~2015.12)を用い,放射線療法は3次元原体照射(4550.4Gy/25-28fr)を行った.再評価時に上腸間膜動脈や腹腔動脈幹の血管径に変化を来していないもの,ダウンステージ したもの,遠隔転移をしていないもの,腫瘍マーカーの低下したものなど総合的に切除可能と判断した症例に対して膵 切除とし,適さない場合は化学療法を継続した. CRT後の治療成績に加えて,B因子(リンパ節転移:N0/N1, CA19-9 値),C因子(performance status: PS:0,1,2)および化学療法 (G-CRT vs GS-CRT)による比較検討を行った. 【結果】 UR-LA 127例のCRT完遂率は96.9%,再評価時の非切除率は38.3%,開腹時非切除率は14.2%,膵切除率は47.2%,R0達 成率は64.4%と限定された.全例の生存期間中央値 (MST)は19.3Mであり,切除例 (N=60)は非切除例 (N=67)と比較して 有意に予後の延長を認めた (28.2M vs.13.0M, P=0.0008). B因子では,N0 (n=73) vs. N1 (n=54)が20.3M vs 13.9M (P=0.16),CA19-9も階層的有意差を認めなかった (P=0.62). C因子では,PS 0-1 (n=119) vs. PS 2 (n=8)が18.0M vs. 6.3MとPS0-1にて予後が良好であった (P=0.0035). 併用抗癌剤別(G vs. GS)ではR0切除率が56% vs. 77% (P=0.031),MSTは全例で14.2M vs. 22.6M (P=0.017),切除例では 18.1M vs. 36.0M(P=0.023)とGS-CRTで有意に予後が改善された. 【結論】UR-LA膵癌に対するCRTは膵切除の適応となる症例選択が可能であり,PS良好例では積極的な手術にて予後の 改善が期待出来る.GS-CRTはG-CRTと比べてR0切除率の向上が得られ,予後の改善に貢献する可能性が示唆された.
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