演題

WS10-1

切除不能膵癌に対するconversion surgeryの臨床的意義

[演者] 里井 壯平:1
[著者] 山本 智久:1, 山木 壮:1, 小坂 久:1, 廣岡 智:1, 小塚 雅也:1, 井上 健太郎:1, 松井 陽一:1, 柳本 泰明:1, 權 雅憲:1
1:関西医科大学附属病院 消化器外科

切除不能膵癌の予後は極めて不良であり,5年生存率は数%以下に過ぎない.最近の化学療法の進歩により良好な腫瘍縮小効果を認め,conversion surgeryが可能となってきた.いくつかの論文は,conversion surgeryを施行しえた患者において,合併症や死亡率を増価させることなく,生存期間中央値 (MST) が30-52 か月に到達したことを報告している.しかしながら,その多くは切除不能局所進行膵癌であり,遠隔転移膵癌ではconversion surgery患者は極めてまれである.
遠隔転移膵癌の中でも,腹膜転移膵癌患者は,多彩な随伴症状ならびに治療に抵抗性を示し,その予後は6-7週間と報告されている.抗癌剤の腹腔内投与療法は,腹腔内に存在する癌腫に対して高濃度に直接作用し,その腫瘍縮小効果ならびに延命効果が期待されている.特に胃癌や卵巣癌領域では明確な治療効果を示す報告がなされている.
われわれは,33名の腹膜転移膵癌に対してS-1+パクリタキセル(PTX)経静脈(iv)・腹腔内(ip)併用療法を導入し,多施設共同第II相試験を行った.奏効率は36%,conversion surgery 率24%,MST 16.3か月であり,conversion surgeryを施行した8名のMSTは27.8か月と,非切除患者25名の14.2か月と比較し有意に予後良好であった(p=0.0062, Ann Surg 2017)..
このように,conversion surgeryは,切除不能膵癌患者の予後改善に寄与するかもしれない.今後,腫瘍縮小かつ患者のPSを維持可能な適切な化学療法の選択,適切な画像評価方法,手術適応,適切な手術時期や手術範囲を探索する必要がある.
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