演題

WS09-10

切除可能膵癌に対する術前重粒子線治療

[演者] 山田 滋:1
[著者] 川城 壮平:1, 磯崎 由佳:1, 鎌田 正:1, 宮崎 勝:2
1:重粒子医科学センター病院, 2:国際医療福祉大学三田病院 外科・消化器センター

重粒子線は,従来の放射線治療で用いられてきたX線とは異なる物理特性,生物特性をもつことから,従来放射線治療抵抗性とされてきた難治性腫瘍に対しても優れた効果が示されてきた.膵癌に対する治療は外科的切除が標準治療であるが,切除例の3年生存率は現在でも約23%と低く,消化器癌の中で最も治療成績が悪い.切除膵癌の予後が悪い原因の一つ,肝転移と並んで高率に起こる局所再発が挙げられる.そのため化学療法併用放射線など,数多くの治療が試みられてきたが,膵癌は従来の放射線治療には抵抗性でありさらに放射線感受性の高い消化管に周囲を囲まれていることより,十分な治療効果を得ることができなかった.安全に膵周囲への癌浸潤をいかに制御するかが,膵癌の外科的治療成績を上げるための課題であった.術後の局所再発を制御するため,2003年より膵臓癌に対する術前短期重粒子線治療臨床試験が開始された.対象は手術可能な浸潤性膵管癌であった.本臨床試験では,総線量30.0GyEから36.8GyE/8回/2週間まで5段階で線量増加し26例の治療が行われた.さらに2011年から36.8GyE/8回で先進医療として12例を治療した.このうち32例(84%)に切除術が施行された.G3以上の有害事象は2例(5%)のみであり,術前重粒子線治療が手術による合併症を増加させることはなかった.組織学的には12例にgrade2以上の効果(かなりの効果:癌の2/3以上に癌細胞の変性・壊死などを認める)を示していた.切除例においては照射野に局所再発を呈した症例は1例のみで5年の局所制御率は92.3%であった.生存率については全症例で5年生存率が40%であったが,切除例では5年生存率が49%であった.報告されている術前放射線化学療法の成績から切除例の5年生存率が12-32%であること比較すると予後良好であると思われた.本試験の結果から術前炭素イオン線治療は安全に施行可能であり,術後合併症の頻度を増加させることなく,術後局所再発のリスクを低減し,予後の改善にも寄与することが示された
詳細検索