演題

WS09-8

切除可能膵癌に対する術前治療の臨床的意義-術前化学放射線療法群とup-front surgery群の比較-

[演者] 村田 泰洋:1
[著者] 早崎 碧泉:1, 加藤 宏之:1, 種村 彰洋:1, 栗山 直久:1, 岸和田 昌之:1, 水野 修吾:1, 臼井 正信:1, 櫻井 洋至:1, 伊佐地 秀司:1
1:三重大学大学院 肝胆膵・移植外科学

【目的】
膵癌に対しては外科切除が,唯一,治癒を見込める治療法であるが,その治療成績の現状は,到底満足のいくものではない.このような背景から,切除可能(R)膵癌に対しても,neoadjuvant therapyを行った後に手術治療を行う試みが,high volume centerを中心に行われてきている.膵癌取扱い規約第7版(JPS7th)では,CT画像に基づいた切除可能性分類が提唱され,R膵癌は主要な動脈に接触を認めず,門脈への浸潤が180度未満と定義され,共通の分類を用いた治療成績が報告されることが期待される.当院では,2005年2月より局所進行膵癌に対して手術を前提とした化学放射線療法(CRT)を施行している.本研究では,JPS7thにおける切除可能性分類に基づくR膵癌を対象とし,CRT先行手術治療の治療成績をup-front surgery施行群と比較し,その有用性を評価した.
【対象と方法】
2005年2月~2015年12月に細胞診/組織診で腺癌と診断され,当院のCRT(gemcitabine/gemcitabine+S1 based)プロトコールに同意の得られた261例のCRT施行例のうち,JPS7thにてR膵癌に分類されたR膵癌58例ならびに同期間にup-front surgeryを施行したR膵癌18例を対象とした.CRT先行群およびup-front surgery群における,R0切除率及び切除標本におけるリンパ節転移陽性率,予後を比較検討した.
【結果】
CRT施行群(n=58)のうち,CRT非完遂例(n=1), 手術拒否例(n=4)を除く53例がCT検査による再評価を受け,遠隔転移の顕在化を認めた4例,術中所見で腹膜播種が確認された3例を除く46例(切除率:79.3%)に膵切除術を施行した.CRT後切除例(n=46)とup-front surgery群(n=18)を比較すると,R0切除率は93.5% vs. 77.8%とCRT後切除例で有意に高率であり,リンパ節転移陽性率(pN1)は32.6% vs. 77.8%とCRT後切除例で有意に低率であった.(P=0.001).CRT後切除例,up-front surgery群のdisease specific survival (DSS)はCRT後切除群にて有意に良好であり(5-year rate: 52.2 vs. 17.7%, p=0.02), CRT施行群(非切除例を含む)のDSSはup-front surgery群よりも良好であった(5-year rate: 43.2 vs. 17.7%).
【結語】
R膵癌に対するneoadjuvant therapyの臨床的意義は,潜在的な微小遠隔転移を有する症例を除外し,手術適応患者を厳密に選択できることにある.さらにCRT先行手術治療はR0切除率の向上,リンパ節転移陽性率を低下させ,その結果,予後を改善する可能性が示唆された.
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