演題

ME-A-1-5

食道亜全摘・喉頭全摘後の食道胃管吻合部癌に対しECMO下に胸郭上部合併切除・遊離空腸移植を行った一例

[演者] 山川 隼輝:1
1:前橋赤十字病院 外科

症例:78歳男性.既往歴:67歳時に食道癌に対して食道亜全摘,胸骨後胃管再建施行.75歳時に喉頭癌に対して喉頭全摘,永久気管孔形成後.現病歴:2015年9月,喉頭癌術後followのFDG-PET/CTで頸部と腹部に集積を認めた.上部消化管内視鏡検査で吻合部付近に腫瘍があり生検で扁平上皮癌であった.下部消化管内視鏡検査で狭窄を伴う横行結腸癌が発見された.CTでは頸部腫瘍は胸骨柄,両鎖骨骨頭,永久気管孔,左総頸動脈に密に接していた.頸部食道癌または喉頭癌再発食道浸潤と診断,化学放射線療法等を提示し患者は手術を選択した.手術:気管合併切除等による呼吸状態の悪化が予想されたため,ECMOを併用した.術前に右大腿静脈脱血,右鎖骨下静脈送血でルートを確立し人工呼吸器なしでも酸素化の維持を確認した.まず横行結腸切除,D2郭清を行い仮閉腹した後,頸部から上胸部にかけての皮切を置いた.両鎖骨骨頭と骨幹部,両第1,2肋骨・肋軟骨間を離断し,両内胸動静脈に注意しながら胸骨柄と胸骨角の間を切離した.胃管上部を切離,廓清を行い,永久気管孔,左総頸動脈を剥離,頸部食道を切離し腫瘍をen Blocに切除した.呼吸状態の変化に対してはECMOの流量を調節した.遊離空腸移植は動脈は左内胸動脈,静脈は左内頚静脈に吻合した.咽頭・空腸吻合,空腸・胃管吻合は側側吻合しモニタリング腸管を置いた.ECMOを離脱し気管孔と皮膚を直接縫合し手術を終了した.手術時間12時間35分,出血量1200ml.術後は大きな合併症なく31病日に退院した.病理学的には漿膜浸潤を伴った食道胃管吻合部口側に発生した頸部食道癌であり,切除断端陰性であった.結語:骨性胸郭・大血管・気管に浸潤した食道癌に対する外科治療は高度の手術侵襲を伴うため手術戦略が必要である.ECMOは気道に対する手術を安全に行う際には有用な手段であると考えられる.
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