演題

PO18-7

組織補強材一体型自動縫合器を用いた腹腔鏡下脾部分切除の経験

[演者] 竹内 男:1
[著者] 高木 純人:2, 金子 高明:1, 三浦 世樹:1, 神谷 潤一郎:1, 中台 英里:1, 冨澤 聡史:1, 尾形 章:1
1:松戸市立病院 外科, 2:内視鏡診断治療センター高木クリニック

【背景】脾疾患に対する脾臓摘出は一般的に行われており,近年は腹腔鏡下脾臓摘出の有用性が報告されている.対象となる疾患は腫瘍性(良性・悪性),非腫瘍性など様々であるが,低侵襲に腹腔鏡下に脾臓を摘出してもOverwhelming Post-splenectomy Sepsis (OPSS)や血栓塞栓症などの重篤な合併症を招くことがある.免疫系が未発達の幼児例においてはOPSSの発症率が高値であることから,特に若年幼児例においては脾臓摘出を回避することが望ましく,脾部分切除が試みられるようになった.脾実質切離の際には超音波凝固切開装置や血管シーリングシステムが用いられ,Habib 4X™やInLine™などのラジオ波焼灼による前凝固を行うなど様々な工夫がなされている.今回我々は,良性と考えられた脾腫瘍に対して組織補強材一体型自動縫合器を用いて腹腔鏡下脾部分切除を施行したので,その手技を報告する.
【症例】患者は52歳,男性.自覚症状なし.健診の上部内視鏡で胃穹窿部に内腔が球形に突出する所見を指摘され,胃粘膜下腫瘍もしくは胃壁外性腫瘍が疑われ当科紹介となった.Dynamic CTでは脾上極に,円形で造影効果を伴わない27mm大の境界明瞭な球形の腫瘤を認めた.MRIではT1 low, T2 low intensityを示し,拡散強調像では低信号であった.超音波では低エコー腫瘤として描出された.良性腫瘍と考えられたが,たまたま4年前に実施された腹部超音波で脾上極に10mm大の嚢胞性病変が指摘されて経過観察となっており,増大傾向ありと診断して今回腹腔鏡下脾部分切除の方針とした.右半側臥位,4ポートで手術開始.胃脾間膜を切離すると脾上極の球形の腫瘤が露出した.脾動脈上極枝を処理するとDemarcation lineが出現した.脾動脈本幹をクリップで遮断し,脾実質切離線を腸鉗子で緩徐に圧挫.Endo GIA™ Reinforced Reload with Tri-Staple™ technology, Black Cartridge 60mmによる1回切離にて標本が遊離し,回収袋に収納して摘出した.術後経過は問題無く5日目に退院となった.割面は明らかな被膜形成を伴わない境界明瞭な腫瘍であり,病理組織学的にはSclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT)と診断された.
【結語】これまでに腹腔鏡下に自動縫合器を用いて脾部分切除を行ったという報告は見当たらないが,上極や下極に存在する良性腫瘍に対する脾部分切除においては自動縫合器も使用し得ると考えられ,本例における手術手技を供覧する.
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