演題

PO18-6

当科における腹腔鏡下および開腹脾臓摘出術の治療成績

[演者] 上坂 貴洋:1
[著者] 大島 由佳:1, 齋藤 健太郎:1, 沢田 堯史:1, 寺崎 康展:1, 皆川 のぞみ:1, 奥田 耕司:1, 大島 隆宏:1, 大川 由美:1, 三澤 一仁:1
1:市立札幌病院 外科

【背景と目的】脾臓摘出術(以下,脾摘と略記)は胃癌や膵癌など他臓器疾患の手術の際に合併して行われることが多いが,脾摘後重症感染の懸念もあり,適応については慎重に判断する必要がある.しかし症例数は多くないものの,特発性血小板減少性紫斑病(以下,ITPと略記)や球状赤血球症などの疾患に対して脾摘が必要になることはあり,その術式や合併症については熟知しておかなければならない.今回,当科で経験した脾摘(脾臓単独)症例の治療成績について検討した.
【対象】2007~2016年の10年間に当科で脾摘を行った10例を対象とした.2群間の検定にはt検定およびMann-WhitneyのU検定を使用し,p<0.05を統計学的有意とした.
【結果】男性3例,女性7例,年齢中央値は47.5歳(30~75歳)であった.原疾患はITPが6例で最も多く,その他は脾嚢胞,脾原発悪性リンパ腫,球状赤血球症による脾腫などであった.手術は腹腔鏡下(以下,LSと略記)が5例,開腹(以下,OSと略記)が4例,用手補助腹腔鏡下が1例であった.手術時間中央値は132分(65~305分),出血量中央値は138ml(10~650ml)であった.術後の在院日数は中央値で9日(5~14日)であった.術後の合併症としては脾静脈血栓を2例,膵液瘻(ISGPF Grade A)を2例認めたが,いずれも保存的に軽快した.LSとOSの間で比較すると,手術時間および出血量には差が認められなかったが,術後在院日数はLSが平均7日であったのに対し,OSでは平均12日であり,LSで有意に短かった(p=0.037).ITP症例に関しては,全例ステロイド不応性で脾摘の適応と判断された.手術適応と判断した時点の血小板値は中央値で1.1万(0.1~3.9万)であり,いずれの症例も術直前に免疫グロブリン静注療法を実施して12.8万(中央値,8.9~24.3万)まで上昇した.脾摘によってすべての症例で一定の効果が得られ,術後の血小板値は11.8万(中央値,7.4~47.6万)と有意差をもって上昇した(p=0.028).術後は6例中4例でステロイドが中止となった.
【考察】症例数は少ないものの,脾摘はITPなどの治療目的で定期的に行われてきており,実際にITPでは全ての症例で治療効果が確認された.またLSとOSでは手術時間や出血量,合併症に有意な差は認められず,術後在院日数は明らかにLSで短く,LSは安全に行いうる術式であることが確認された.
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