演題

PO18-5

脾原発炎症性偽腫瘍の1例

[演者] 津田 雄二郎:1
[著者] 山田 晃正:1, 板倉 弘明:1, 高山 碩俊:1, 中島 慎介:1, 上田 正射:1, 太田 勝也:1, 足立 真一:1, 遠藤 俊治:1, 池永 雅一:1
1:市立東大阪医療センター 消化器外科

【はじめに】炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor : IPT)は病理組織学的には非特異的炎症細胞浸潤と間葉組織の修復像に特徴づけられる良性の腫瘍性病変である.今回われわれは,術前確定診断がつかずに,診断的治療目的で脾摘術を施行し,最終的に脾IPTと診断した1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.
【症例】60歳代,女性【経過】背部痛を主訴に近医を受診し,腹部単純CTで脾下極に約40mm大の腫瘤を指摘され,精査加療目的で当院を受診した.血液検査所見では,可溶性インターロイキン2レセプターが1008 U/mlと基準値の2倍以上の高値を認めた.腹部造影CTでは脾下極に約40mm大の早期相では造影されず後期相において緩徐に染影される腫瘤を認めた.腹部MRIで,腫瘤はT1強調像では淡い高信号を呈し,T2強調像では腫瘤辺縁が低信号,内部は脾実質と等信号であった.超音波内視鏡検査所見では,腫瘤は不均一な低エコー領域を示し,ドップラーで乏血性であった.PET-CTでは,腫瘍のみにFDGの強い集積 ( SUV max10.02→13.18) を認めた.画像上は良性腫瘍の可能性が高いと考えたが,悪性リンパ腫の可能性が否定できず診断的治療目的で開腹脾摘術を施行した.切除標本の肉眼所見では,脾下極に50×40mmの境界明瞭な黄白色の充実性腫瘍を認めた.病理組織像は,炎症細胞浸潤と間葉系細胞の増殖を認め,免疫組織化学染色ではCD68とα-SMAが陽性,desmin陰性,さらにALK-1陰性であることから炎症性偽腫瘍(IPT)と診断した.術後経過は良好で,第12病日に退院し,現在経過観察中である.【考察】脾原発IPTは,特徴的な臨床症状や画像所見がなく確定診断が困難であり,本邦の報告ではほとんどの症例において診断的治療目的で脾臓摘出術を施行されている.一方で,IPTは炎症細胞の集蔟からなる良性の結節性変化であり真の腫瘍ではないということから,術前診断で良性疾患の可能性が高ければ,経過観察も可能であるという見解もある.画像形態的に良性腫瘍が疑われた場合でも,鑑別疾患として悪性リンパ腫や炎症性筋繊維芽細胞性腫瘍(Inflammatory myofibroblastic tumor)などの良悪中間型腫瘍の可能性も念頭に置き,早期に脾摘術を行うことで確定診断することが重要と考えられた.
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