演題

PO18-1

脾sclerosing angiomatoid nodular transformationの1例

[演者] 黒川 敏昭:1
[著者] 三原 史規:1, 徳原 真:1, 枝元 良広:1, 山田 和彦:1, 安田 秀光:1, 矢野 秀朗:1, 橋本 政典:1
1:国立国際医療研究センター病院 外科

Sclerosing angiomatoid nodular transformation(以下SANT)は脾臓の非腫瘍性血管性病変である.特徴的な臨床像や画像所見はなく,脾腫瘍との鑑別が問題となったSANTの1例を報告する.
患者は50歳女性.2013年12月に腹部膨満感が出現.近医を受診し,上部および下部消化管内視鏡検査を施行されるも異常を認めなかった.翌年4月には腹痛が出現し,その後腹部膨満感や右下腹部痛が顕著となったため,前医を受診した.CT検査にて脾臓の腫瘤と腹部全体に隔壁を有する液体の貯留を認め,腹膜偽粘液種が疑われたため,6月に当院受診された.両側卵巣に多房性嚢胞性腫瘤があり,脾臓内には60×44mmの腫瘤を認めていた.FDG-PET等の検査では右卵巣腫瘍と診断し悪性を否定できず,婦人科で両側子宮付属器切除が施行された.この時には脾臓摘出は行わず経過観察の方針とした.病理組織検査は卵巣のmucinous cystadenomaで,悪性の所見はなかった.
その2カ月後のCT検査でも,脾臓に60mmの遅延性に濃染する境界不明瞭な腫瘤を認め,以前に低吸収域として認めていた部分が明らかではなくなっていた.MRI検査ではT1強調で高信号,T2と強調で低信号を呈し,さらに拡散強調画像で拡散制限を伴っていなかった.FDG-PET検査では腫瘤に一致してSUVmax3.23の集積を確認できた.腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,CA125),可溶性IL-2リセプターは異常値を認めなかった.以上の所見からは脾腫瘤は血管腫,炎症性偽腫瘍などを疑ったが,脾原発の悪性腫瘍も否定はできないと考え,2014年11月腹腔鏡用手補助下脾臓摘出術を施行した.肉眼的には脾門部被膜直下に60mm大の弾性腫瘤を認め,割面では厚い線維組織内に赤褐色,分葉状の結節が見られた.組織学的には多結節性に小血管が増生して内部に赤血球が豊富で,赤脾髄に類似した血管組織であり,CD34+/CD8-のcapillaryと,CD34-/CD8+のsinusoid,CD34-/CD8-/CD31+のsmall vesselの3種類の血管が見られる.結節周囲には筋線維芽細胞が増生して硝子線維化している.Ki-67 indexは総じて低く,IgG4/IgG比は5%程度である.以上から脾SANTと診断した.
【結論】2004年の報告以来,これまでに15例の報告を認める.いずれも悪性疾患との鑑別のために手術が施行されてきた.診断がつけさえすれば経過観察が可能であるが,現状では困難であるため低侵襲の腹腔鏡下手術は良い適応であると考えられる.
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