演題

PO17-7

巨腫を伴うヘアリ細胞白血病(亜型疑い)に対し脾摘術を施行した一例

[演者] 篠崎 浩治:1
[著者] 松本 健司:1, 笹倉 勇一:1, 松田 睦史:1, 寺内 寿彰:1, 田口 昌延:1, 木全 大:1, 古川 潤二:1, 小林 健二:1, 尾形 佳郎:1
1:済生会宇都宮病院 外科

脾腫を伴うリンパ系悪性疾患に対する脾摘術は,血小板減少や臓器圧迫症状を有する場合に考慮される.
今回,極めて稀な疾患である巨腫を伴うヘアリ細胞白血病(亜型疑い)に対して脾動脈塞栓を行った後,脾摘術を施行した症例を経験した.
症例は68歳女性.著明な体重減少(約15kg/年)を契機に腹部腫瘤を自覚し,2016年6月当院内科を受診した.腹部CT検査にて脾腫(推定容量4427ml)を認め,血液生化学検査にて軽度の血小板減少(8.3万/μm)と貧血(Hb 8.2g/dl)および異型リンパ球の存在を認めた.骨髄穿刺による骨髄塗抹標本ではリンパ球に絨毛状突起様形態を有する細胞を認め,免疫組織化学ではCD20(+), CD79a(+), bcl-2(-), CD5(-), CD10(-)の小~中型リンパ球の骨髄浸潤を認めた.細胞表面マーカー解析ではCD19(-), CD20(+), CD22(+), CD11c(+), CD5(-), CD10(-), CD25(-), SM-IgG(+), SM-IgM(-)であった.以上の結果より,ヘアリ細胞白血病(変異型もしくは日本亜型)が疑われた.2016年9月の腹部CT検査で,脾腫の推定容量が4822mlと短期間で増大し,食後の腹満感などの臨床症状を呈していたため,2016年10月開腹脾臓摘出術を施行した.手術室で血管造影検査を施行し,脾動脈を塞栓の上,バルーンカテーテルを留置し血行遮断した.上下腹部正中切開にて開腹したが,脾門部視野確保のため,左上腹部横切開を加えた.脾門部血管処理後,後腹膜との癒着を剥離し脾臓を摘出した.手術時間219分,出血量610ml,摘出脾臓重量5000gであった.術後,白血球数の高値が遷延し,喀痰排出不良による無気肺を合併したが保存的に軽快した.現在,臨床症状は安定し,外来にて経過観察中である.
ヘアリ細胞白血病はB細胞系の悪性造血器腫瘍で,特徴的形態を示す細胞質の突起を有する細胞(有毛細胞)を認める極めて稀な疾患である.欧米でリンパ性白血病の約2%を占めるclassical type(HCLc)ではCD25陽性,表面免疫グロブリンIgMを示すが,変異型(HCLv)や日本人に特有の亜型(HCLjv)ではCD25陰性,表面グロブリンIgG(+)を示す.本症例ではHCLjv もしくはHCLvが疑われるが,それぞれのtypeにより治療戦略が異なるため現在,病理組織検査にて精査中である.
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