演題

PO17-6

肝門部胆管癌術後の肝外門脈閉塞による門脈圧亢進症・消化管出血にRex shuntで救命し長期生存した1例

[演者] 新村 兼康:1
[著者] 海保 隆:2, 芝﨑 秀儒:1, 信本 大吾:1, 吉野 めぐみ:1, 園田 至人:1, 里村 仁志:1, 吉留 博之:1
1:さいたま赤十字病院 外科, 2:国保直営総合病院君津中央病院 外科

【はじめに】肝外門脈閉塞による門脈圧亢進症は消化器外科術後や膵炎,外傷など様々な原因により起こり得るが,IVRか外科手術かその治療法がmortalityを分ける.我々は肝門部胆管癌治癒切除後の肝外門脈閉塞による消化管出血に対して,Rex shunt ( mesenteric - left portal shunt )により救命し得,長期生存中の1例を経験したので紹介したい.【症例】71歳男性.肝門部胆管癌に肝右傍正中領域切除+尾状葉切除/胆管切除を施行し組織学的治癒切除を得た.術後8日目に肝外門脈血栓塞栓症を発症したが,肝管空腸吻合部から残肝内門脈への短絡により肝不全を免れ軽快退院した.造影CTで門脈が肝門から膵下縁SMVまで閉塞し,肝内門脈は肝管空腸吻合部から造影された.門脈圧亢進症状の腹痛や少量の腹水,食道静脈瘤,脾腫,汎血球減少などは経過観察できたが,13か月で下血を来たし腹水も増加し再入院した.肝管空腸吻合部短絡における側副血行路異所性静脈瘤破裂と診断し,肝外門脈閉塞に対する治療を計画した.門脈ステントか外科的アプローチとしてのjump graft ( Rex shunt )を検討したが,門脈ステントの適応(1.閉塞部が3.5 cm以下と短いこと,2.ステントが肝内門脈や分岐部にかからないこと,3.求肝性側副血行路の発達に乏しいことなど)には限界があり適応外と判断しRex-shuntを選択した.左大伏在静脈を採取し,拳上空腸間膜の拡張静脈と門脈臍部の左門脈に9cm長のバイパスを置いた.術後ただちに下血と腹水は消失し16日目に退院した.バイパス後4年でグラフトの開存を確認し良好なQOLを保っている.【考察】1)術後に限らず肝外門脈閉塞による門脈圧亢進症は経験されうる病態であり,門脈ステントと手術的血行再建それぞれの利点と欠点,長期開存率などを十分に考慮し治療法を決定すべきである.2)Rex shuntは小児では広く行われているが,成人での報告はわずかであった.今回成人で長期開存を得たことで,成人にも適応され得ることが示された.3)Rex shuntは門脈圧亢進症を改善するだけでなく肝血流も回復させる.4)外科的アプローチは困難とされるが,Rex shuntは肝門に触らずに行える利点がある.【結語】肝外門脈閉塞による門脈圧亢進症に対するRex shuntは根治的であり極めて有用である.
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