演題

PO17-5

術中脾動脈塞栓術を先行する脾臓摘出術が安全に施行し得た特発性肝外門脈閉塞症の1例

[演者] 高尾 幸司:1
[著者] 庄田 勝俊:1, 森村 玲:1, 生駒 久視:1, 栗生 宜明:1, 中西 正芳:1, 市川 大輔:1, 藤原 斉:1, 岡本 和真:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学附属病院 消化器外科

【はじめに】肝外門脈閉塞症(extrahepatic portal obstruction:EHO)とは肝門部近傍で閉塞する病態であり,食道胃静脈瘤,脾腫,脾機能亢進症,門脈-体循環短絡などの門脈圧亢進症状を呈する疾患と定義されている.今回特発性肝外門脈閉塞症(idiopathic extrahepatic portal obstruction:IEHO)による脾機能亢進に対し術中脾動脈塞栓を先行する脾臓摘出術を安全に施行し得た1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
【症例】25歳男性,健診で貧血を指摘され当院消化器内科を受診.上部消化管内視鏡検査で中部食道から噴門輪まで胃食道静脈瘤を指摘された.形態はF2,Telangiectasia(+)であった.造影CTで肝外門脈閉塞症と診断,肝門部に著明な求肝性側副血行路である門脈海綿状変化(cavernous transformation)の発達を認め,また食道胃接合部近傍の側副血行路の発達と脾腫を認めた.CT画像で積算したところ脾体積は1401.2㏄であった.食道胃静脈瘤に対し内視鏡的硬化療法を3度施行したが効果は不十分であった.血液検査でWBC2600/ul,HGB12.4g/dL,PLT65000/ulと汎血球減少を認めた.以上の所見より食道胃静脈瘤,汎血球減少を伴う特発性肝外門脈閉塞症と診断し,全身麻酔下に術中脾動脈塞栓術を先行する脾臓摘出術を施行した.手術時間は5時間47分,出血量は92g.開腹所見は正常肝であったが,肝十二指腸靱帯および小網の側副血行路は著明に発達していた.摘出した脾重量は1165gであった.病理組織学的所見は赤脾髄領域が拡大し,脾洞の増生が顕著で門脈圧亢進症に矛盾しない所見であった.術後経過良好で9POD退院し,脾機能亢進による汎血球減少は消失した.
【考察】本症例では脾臓が極めて大きく左上腹部の側副血行路の発達も著しかったため,脾臓による術中視野確保が難しいと予測した.このような状況下で側副血行路からの術中出血があった場合,止血に難渋すると思われたため脾臓への血流低下を目的に術中脾動脈塞栓術を行った.一方胃小弯の肝臓への側副血行路を温存するため胃小弯側や食道胃接合部の血行郭清は行わなかった.
【まとめ】特発性肝外門脈塞栓症(idiopathic extrahepatic portal obstruction:IEHO)による脾機能亢進に対し術中脾動脈塞栓を先行する脾臓摘出術を行い,良好な結果を得た症例を経験した.
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