演題

PO17-3

当院で経験した門脈ガス血症の臨床的検討(保存的治療か外科的治療か)

[演者] 田仲 徹行:1
[著者] 中村 信治:1, 西和田 敏:1, 吉村 淳:1
1:南奈良総合医療センター 外科

はじめに:門脈ガス血症は腸管壊死などを伴うような重篤な病態を示唆する予後不良な兆候とされ,従来では緊急手術を要する病態の指標とされてきた.しかし近年では保存的治療での改善例の報告も散見され,死亡率も低下している.目的と方法:当院で2015年10月から2016年10月までの1年間に経験した門脈ガス血症6例を対象とし臨床症状,CT画像所見,血液検査所見など臨床像を比較し,治療方法の妥当性を検討する.結果:症例は43歳から89歳で男性2例,女性4例.手術は2例に施行しいずれも壊死所見を呈する腸管の切除を要した.非手術症例は4例で,そのうち1例が死亡例となったが3例が保存的治療にて改善した.手術症例2例,死亡症例1例の臨床症状は腹痛,反跳痛とも著明であり継時的に症状の増悪を認め,CT所見では門脈ガス血症のほか腸管気腫症や腸管虚血の所見を伴っていた.一方,保存的に改善した3例の臨床症状は比較的軽度か,継時的な症状の改善傾向を認めた.門脈ガス血症の原因は手術症例2例が臨床像,手術標本の病理所見より非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)が疑われた.保存的治療にて改善した3例は2例が高度便秘もしくは腸閉塞による腸管内圧上昇が原因と考えられ,1例は透析中の発症であった.考察:CTでの門脈ガス所見や血液検査所見などは必ずしも腸管虚血の鋭敏なマーカーとはならず保存的治療にて改善する例もあり,単体の検査所見での治療適応の判断には限界があると考えられた.しかし,同所見が重篤な病態を反映する場合もあり,臨床理学所見やCT,血液検査所見などによる総合的な判断にて腸管虚血,壊死が疑われる際には積極的な外科介入が救命につながると考えられる.結語:門脈ガス血症は必ずしも予後不良な兆候でない場合もあるが,全身の予備能力が低下する高齢者や重篤な既往疾患例へ発症した門脈ガス血症の治療に際しては,身体所見,検査所見を総合的に診断し迅速かつ慎重な手術適応の判断を要する.
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