演題

食道扁平上皮癌におけるNCCRP1遺伝子の役割に関する検討

[演者] 三輪 高嗣:1
[著者] 神田 光郎:1, 小池 聖彦:1, 岩田 直樹:1, 山田 豪:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 藤井 努:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【背景】
食道扁平上皮癌(ESCC)の治療成績は,集学的治療方略の進歩により幾分の改善をみたものの未だ十分とはいえない.診断・治療の両面において,新規ESCC関連分子の同定が望まれている.Non-specific cytotoxic cell receptor protein 1 homolog (NCCRP1)遺伝子は染色体19q13.2に位置し,275アミノ酸からなる蛋白をコードしているが,その機能や悪性腫瘍における発現の意義については明らかにされていない.
【目的】
ESCCにおけるNCCRP1の発現および調節機序について検討した.
【対象と方法】
9種のESCC細胞株を対象に,NCCRP1 mRNAの発現量,DNAメチル化状態を調べた.当教室にてESCCに対して食道切除術を施行した213症例から得られた癌部および非癌部組織のNCCRP1 mRNAの発現量を調べ,予後を含む臨床病理学的因子との相関性について検討した.
【結果】
ESCC細胞株は多様なNCCRP1 mRNA発現量を示したが,いずれの細胞株においてもNCCRP1プロモーター領域のDNAメチル化を認めた.NCCRP1 mRNA発現量は,5-aza-dC処理による脱メチル化によって高度に増加した.ESCC切除例213例の検討では,204例(95.8%)で癌部NCCRP1 mRNA発現量は非癌部より低下していたが,病期と癌部NCCRP1 mRNA発現量の間には有意な相関を認めなかった.癌部NCCRP1 mRNA発現量の中央値で2群に分けて解析すると,NCCRP1低発現群は有意に全生存期間および無再発生存期間が短縮しており,癌部NCCRP1低発現は全生存期間に対する独立予後不良因子であった(ハザード比 1.75,95%CI 1.08 - 2.87,P=0.022).NCCRP1 mRNA発現量の予後への影響は,術前補助化学療法の有無による変化はみられなかった.
【結語】
ESCCにおいて,NCCRP1はDNAメチル化を主たる調整因子として高頻度に抑制されており,その発現量は予後予測バイオマーカーとなる可能性が示唆された.
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