演題

食道癌におけるRING box protein-1(RBX1)発現の臨床的意義

[演者] 國重 智裕:1
[著者] 右田 和寛:1, 松本 壮平:1, 若月 幸平:1, 伊藤 眞廣:1, 中出 裕士:1, 北野 睦子:1, 中谷 充宏:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【背景と目的】
近年,発癌および癌の進展におけるユビキチンシステム異常の重要性が明らかにされてきている.RING box protein-1(RBX1)はSCF-ユビキチンリガーゼの構成タンパク質の一つであり,その過剰発現が癌細胞の増殖や再発に関連していると報告されている.今回,ヒト食道癌におけるRBX1発現の臨床的意義を検討した.
【対象と方法】
当科で1995年から2011年の間で根治的切除を受けた術前未治療食道癌症例120例の切除標本を抗RBX1抗体で免疫組織染色を行った.染色される癌細胞の割合をそれぞれの標本で算出した.
【結果】
平均RBX1陽性率は65.1 ± 24.8 %であった.RBX1発現と臨床病理学的因子との関連を検討したところ,壁深達度(pT1-2 58.5 % v.s. pT3-4 72.0 %, P = 0.002),リンパ節転移(陰性 56.8 % v.s. 陽性 70.6 %, P = 0.004),pStage(pStage0-I 53.4 %, pStageII 62.9 %, pStageIII 72.2 %, pStage IV 73.1 %, P = 0.003),腫瘍径(<50mm 60.0 % v.s. ≥50mm 75.0 %, P <0.001),リンパ管侵襲(陰性 51.7 % v.s. 陽性 70.4 %, P = 0.001),静脈侵襲(陰性 59.6 % v.s. 陽性 74.0 %, P = 0.001) で陽性率に有意差を認めた.陽性率63 %をカットオフ値としhigh群 (n = 80)とlow群 (n = 40)に分類したところ,5年全生存率はhigh群 37.9 %,low群 58.6 %とhigh群は有意に予後不良であった(P = 0.003).さらに5年疾患特異的生存率はhigh群 48.0 %,low群 68.4 %(P = 0.027),5年無再発生存率はhigh群 32.0 %,low群 61.0 %(P = 0.009)と有意にhigh群は低率であった.
【結語】
RBX1は食道癌の増殖,転移において重要な役割を担っており,新たなバイオマーカー,治療標的となる可能性が示唆された.
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