演題

WS09-5

切除可能膵癌における術前化学放射線療法の有用性

[演者] 遠藤 泰:1
[著者] 北郷 実:1, 板野 理:1, 篠田 昌宏:1, 日比 泰造:1, 阿部 雄太:1, 八木 洋:1, 中野 容:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【目的】当院ではUICC-T3/4の膵癌症例に対して術前化学放射線療法(以降NACRT)を施行してきた.今回切除可能膵癌(以降 PC-R)に対するNACRTの有用性と安全性につき検討した.【方法】2004年1月から2016年6月までに当院で加療されたUICC-T3のPC-R症例をNACRT群と手術先行群(Upfront surgery群;US群)に分けて後向きコホート研究を行った.当院のNACRTのprotocolは, 2Gy/d(40Gy) , 5-FU300mg/d もしくは TS-1 60mg/m2/d d1-5/w, x4w, MMC4mg/d x1/w x4w and CDDP10mg/d x1/w x4wとしている.【結果】対象症例は81例. NACRTは19例(23.5%)に対して施行され(5-FU regimen; 10例, S-1 regimen; 9例), 手術先行群(Upfront Surgery群; 以降US群)は62例であった.年齢は68.2±8.53歳,53例(65.4%)が男性であった.NACRT群の治療効果判定はPR/SD/PDが5/12/2例であり,Response rateは26.3%であった.手術にまで至った症例は16例(84.2%)であった.非手術となった理由は,遠隔転移の出現(2例)および手術希望なし(1例)であった.手術施行した症例では,NACRT群は全例でR0切除で,US群では53例(83.2%)であった.術後合併症は両群に有意差を認めなかった.補助化学療法はNACRT群で14例(87.5%), US群で38例(61.3%)に施行された.全NACRT群の5年無再発生存率(DFS)/全生存率(OS)はそれぞれ42.1/57.9%であり,切除例はそれぞれ50.0/69.0%であり, US群(5年DFS/OS; 35.0/40.3%) よりも良好な傾向であった.NACRT群とUS群のOSには統計学的な有意な差は認めなかったが,NACRT群でOSのMSTはより長い傾向にあった(71ヶ月 vs 43ヶ月, p=0.33).【考察】NACRT群は術前治療後であっても,術後合併症の発生には有意な差は認めなかった.【結論】UICC-T3症例において,NACRT群はUS群に比べて予後良好の傾向があった一方で,術後合併症の発生率には差がなく,NACRTは安全かつ有効な治療戦略の候補として考慮されると考えられた.
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