演題

食道扁平上皮癌における腫瘍内樹状細胞の成熟とTILとの関係

[演者] 西村 潤也:1
[著者] 田中 浩明:1, 田村 達郎:1, 木村 健二郎:1, 豊川 貴弘:1, 天野 良亮:1, 六車 一哉:1, 前田 清:1, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学

【背景】
腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte:以下TILと略)は,抗腫瘍効果を示し予後に影響を与えると考えられている.TILが増殖するためには成熟樹状細胞(mature dendritic cell;以下mDCと略)からの抗原提示が必要である.DC-LAMPはmDCに特異的に発現しており検出に有用である.
【目的】
今回われわれは,食道扁平上皮癌におけるmDCの浸潤とTILとの関連および臨床病理学的因子や予後との関連について検討を行った.
【対象】
当科で2003年から2011年の間に手術を施行した,術前未治療の食道扁平上皮癌80例を対象とした.
【方法】
切除標本の原発巣を抗DC-LAMP抗体および抗CD8抗体で免疫染色を行った.腫瘍先進部の濃染色域5視野を選択し,mDCおよびCD8陽性リンパ球を400倍でカウントし平均値を算出した.中央値を基準として高浸潤群と低浸潤群に分類し,両群の臨床病理学的因子との関連について検討を行った.
【結果】
患者背景では平均年齢65歳,男性64例,女性16例,pStage0/I/II/IIIは14/9/20/36例であった.腫瘍周囲のmDCの中央値は7.4(0-24.6)個,腫瘍周囲のCD8陽性リンパ球の中央値は11.8(0-42.4)個,腫瘍内のCD8陽性リンパ球の中央値は4.4(0-21.6)個であった.腫瘍周囲のmDCは,高浸潤群では低浸潤群に比しリンパ管侵襲およびリンパ節転移が少なく,深達度および病理学的ステージが低い傾向を認めた.またCD8陽性リンパ球は,高浸潤群では低浸潤群に比しリンパ節転移が少ない傾向を認めた.さらに腫瘍周囲のmDC数は,腫瘍内のCD8陽性リンパ球数と正の相関を認めた.予後ではmDC,CD8陽性リンパ球いずれにおいても全生存率が高浸潤群で有意に良好であった.蛍光免疫組織染色法にてmDCとCD8陽性リンパ球の関連性を評価したところ,腫瘍周囲においてmDC-CD8陽性リンパ球の集簇像が認められ,腫瘍局所においてmDCがCD8陽性リンパ球に接して存在する様子が観察された.
【結語】
食道扁平上皮癌ではmDCおよびCD8陽性リンパ球の腫瘍への浸潤が高度であれば,より良好な予後を示す傾向がみられた.これはmDCが浸潤することにより,腫瘍局所内での抗免疫機構が働いているものと推測された.
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