演題

Filamin Cは食道扁平上皮癌のリンパ管侵襲・リンパ節転移を促進させる

[演者] 田辺 寛:1
[著者] 喜多 芳昭:1, 馬場 研二:1, 盛 真一郎:1, 内門 泰斗:1, 前村 公成:1, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学

消化器癌の治療においてリンパ節転移の調節のメカニズムを解明することは肝要である.我々はアクチンの架橋タンパク質であるFilaminファミリーの一つであるFilamin C(FLNC)に着目し,その発現が癌に及ぼす影響について消化器癌の中でも浸潤・転移しやすい食道扁平上皮癌で検討した.FLNC発現と食道扁平上皮癌の臨床病理学的因子について75例の根治手術症例について免疫染色を用いて検討したところ,FLNC高発現群において低発現群と比較してリンパ管侵襲とリンパ節転移が有意差(P<0.05)をもって多く認められた.また全生存期間も高発現群は低発現群と比較して有意に短かった.in vitroではFLNCをノックダウンした食道扁平上皮癌細胞株で表現型を検討したところ,ノックダウン株においてwound healing assayとtranswell migration and invasion assayで細胞の遊走能と浸潤能が抑制された.さらにFLNCノックダウン株を用いてRho activity assayを施行したところ,活性型であるGTP-Rac1とGTP-Cdc42が減少していた.FLNCは食道扁平上皮癌においてRho GTPaseを介して細胞の遊走能と浸潤能を促進させ,臨床ではリンパ管侵襲やリンパ節転移を促進させることが示された.これらの結果よりFLNCは食道扁平上皮癌のリンパ節転移のバイオマーカーとなりえる可能性が示唆され,FLNCの機能を抑制することができれば食道扁平上皮癌の転移のコントロールにつながる可能性も示唆された.
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