演題

食道扁平上皮癌由来エクソソームは癌細胞の遺伝子発現に変化をもたらし増殖・遊走能に影響を与える

[演者] 松本 泰典:1
[著者] 加野 将之:1, 阿久津 泰典:1, 羽成 直行:1, 村上 健太郎:1, 高橋 理彦:1, 大塚 亮太:1, 関野 伸史:1, 横山 将也:1, 松原 久裕:1
1:千葉大学大学院 先端応用外科学

食道扁平上皮癌は予後不良な癌種の一つであり,手術・放射線・化学療法等の集学的治療のみならず,新しい診断・治療法の開発が求められている.エクソソームは30-100nm程度の小粒子であり,癌研究においては癌の進展や免疫反応等に関わる種々の報告がなされ注目を浴びている.当研究室においても,患者血漿におけるエクソソーム定量による予後マーカーとしての可能性を報告し(Oncology Reports, 2016),その機能につき解析を進めている.今回われわれは,癌由来のエクソソームによる自身の増殖能や遊走能に与える影響を解析したので報告する.【方法】ヒト食道扁平上皮癌細胞株(TE2,T.Tn)を用いて,その培養上清より超遠心法(10,000g,90min,4℃,3回)によりエクソソームを抽出する.抽出したエクソソームは電子顕微鏡による粒子の確認,また蛍光染色(PKH67)による細胞への取り込みを確認する.抽出したエクソソームを用い,PBS,エクソソーム(1μg/ml),エクソソーム(10μg/ml)の濃度で培養細胞株に添加し,cell proliferation assay(CCK-8,同仁化学研究所),wound healing assayによる増殖能と遊走能の評価を行う.エクソソームの添加による遺伝子発現の変化を解析するため,TE2,T.Tnに関してエクソソーム添加群と非添加群でmicroarray(Agilent Technologies)による遺伝子発現の解析を行う.【結果】超遠心法を用いた細胞培養上清からのエクソソーム抽出は電子顕微鏡で確認し得,蛍光イメージングにより細胞への取り込みを確認し得た.癌由来エクソソームの添加により,添加後24時間における自身の増殖能力は低下したものの,遊走能が上昇する結果を得た.microarrayによる遺伝子発現解析では,細胞周期に関わる遺伝子(CDK14)の発現変化を始めとするいくつかの発現変化を認め,今後クラスター解析による考察を予定している.【結語】食道扁平上皮癌細胞由来エクソソームは自身の遺伝子発現に変化をもたらし,腫瘍進展に影響を与えている可能性が示唆される.
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