演題

WS09-4

切除可能膵癌に対する予後改善を目指した治療戦略

[演者] 蔵原 弘:1
[著者] 前村 公成:1, 又木 雄弘:1, 迫田 雅彦:1, 飯野 聡:1, 川崎 洋太:1, 橋口 真征:1, 上野 真一:2, 新地 洋之:3, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学, 2:鹿児島大学大学院 臨床腫瘍学, 3:鹿児島大学大学院 保健学科

背景・目的:切除可能境界膵癌に対しては術前治療による予後改善が報告されているが,切除可能膵癌に対する術前治療の有効性は不明である.今回切除可能膵癌に対する術前治療の有効性を検討する.
方法:切除可能膵癌の診断は膵癌取扱い規約第7版に準じて行った.2000年から2016年6月に当科にて治療を施行した104症例の切除可能膵癌を対象とした.手術先行群が69症例,術前治療群が35症例であり,術前治療内容は化学療法が30症例,化学放射線療法が5症例であった.術後補助化学療法は手術先行群で72%,術前治療群で83%の症例に施行された.
結果:1)術前治療群のうち2症例が非切除(1例は肝転移,1例は腹膜播種)となり,切除率は94%であった.2)手術先行群において31症例(45%)は術後1年以内の早期再発を認めた.血行性転移が55%で最多であった.3)手術先行群の早期再発症例では,血清CA19-9値とDUPAN-2値がいずれも有意に高値(P<0.001)であった.血清CA19-9>50 U/mLもしくはDUPAN-2>150 U/mLのいずれかを認める症例(腫瘍マーカー高値群)では感度84%,特異度68%,正診率75%で術後早期再発を認めた.4)手術先行群においては腫瘍マーカー高値群の予後(生存期間中央値19.6ヵ月)は腫瘍マーカー低値群(生存期間中央値50.3ヵ月)に比べて有意に不良であった(P=0.008).5)術前治療群では血清CA19-9値およびDUPAN-2値はいずれも術前治療により低下傾向となった.6)診断時腫瘍マーカー低値群では手術先行群(MST 50.3ヵ月)と術前治療群(生存期間中央値43.0ヵ月)の予後は同等であった.診断時腫瘍マーカー高値群では手術先行群(生存期間中央値19.6ヵ月)と比較して術前治療群(生存期間中央値未到達)の予後は有意に良好であった(P=0.004).
考察:切除可能膵癌のうち診断時の血清CA19-9もしくはDUPAN-2が高値の症例では,手術先行では高率に術後早期再発を認め予後不良であり,術前治療を加えることにより予後が改善する可能性がある.
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