演題

経裂孔的食道切除症例における下縦隔再発のリスク因子の検討

[演者] 松原 大樹:1
[著者] 小西 博貴:1, 藤原 斉:1, 塩崎 敦:1, 小菅 敏幸:1, 小松 周平:1, 市川 大輔:1, 岡本 和真:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学附属病院 消化器外科

【目的】鏡視下経裂孔食道切除術は,下縦隔郭清の視野は良好であり手技としては有利であると考えられるが,下縦隔再発も少なからず経験する.今回,経裂孔的食道切除術後の下縦隔再発リスク因子について検討した.
【方法】2010年~2016年5月に当科で経裂孔的食道根治切除術を施行した食道癌115例を対象に,下縦隔再発を来した症例(I群)と無再発症例(F群)及び下縦隔以外の部位に再発を来した症例(O群)について,各臨床病理学的因子(年齢,性別,腫瘍の局在,腫瘍径,T因子,N因子,pStage,ly,v)の比較を行い,I群とO群に関して部位別のリンパ節転移について検討した.また下縦隔再発に関して,同時期の開胸手術92例との比較も行った.
【結果】全115例中36例に再発を認め,下縦隔に再発を認めた症例は9例であった.I群9例とF群79例の比較検討では,I群にT因子,N因子,pStageが進行した症例(全てp<0.0001),及びly・v因子陽性例が有意に多かった(p=0.0015,0.0004).I群9例とO群27例の比較検討では腫瘍の局在に差はなかったが,I群でリンパ節転移陽性例,ly・v因子陽性例が有意に多かった(P=0.0216,0.0201,0.0318).リンパ節転移部位に関しては,I群で噴門部リンパ節転移陽性例が多い傾向にあった(#2:p=0.0055,#1 or #2: p=0.0601).同時期の開胸手術と比較すると,開胸群で下縦隔再発の頻度は高いものの(9/115 vs 16/92),進行例も有意に多かった.経裂孔/開胸群で下縦隔再発を認めた9/16例のうち,経裂孔群で5例,開胸群で9例は同時性の遠隔/多発縦隔転移を認め,最終的に再発が下縦隔のみであった症例は1例ずつであった.下縦隔の再発部位としては,大動脈右側/左側/両側が経裂孔群:4/3/2例,開胸群が8/3/5例であった.
【結語】経裂孔切除において下縦隔再発は,リンパ節転移,ly・v因子との相関を認め,また噴門リンパ節転移との関連が示唆された.下縦隔再発は進行例に多い傾向があり,経裂孔操作によっても従来の開胸手術と遜色ない郭清が可能と考えられたが,さらなる症例集積が必要である.
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