演題

胸部食道扁平上皮癌根治切除後の早期再発危険因子

[演者] 市川 寛:1
[著者] 羽入 隆晃:1, 石川 卓:1, 大渓 隆弘:1, 宗岡 悠介:1, 坂田 純:1, 永橋 昌幸:1, 小林 隆:1, 亀山 仁史:1, 若井 俊文:1
1:新潟大学大学院 消化器・一般外科学

【背景】胸部食道扁平上皮癌において術後再発の多くは2年以内に認められる.その中で,極めて早期に再発を来す症例も経験されるが,その危険因子については明らかにされていない.
【目的】胸部食道扁平上皮癌根治切除後の早期再発の危険因子を明らかにすること.
【対象と方法】2000年から2014年までに,当科にてR0食道切除を施行した胸部食道扁平上皮癌患者のうち,サルベージ食道切除や在院死亡症例を除いた206名 (男性178名,女性28名,年齢中央値66歳) を対象とした.術後6か月以内の再発を早期再発と定義し,早期再発群 (35名) と非早期再発群 (171名) に分類した.臨床病理学的因子を2群間で比較検討し,Logistic回帰分析を用いて早期再発の危険因子を同定した.
【結果】早期再発群は病理学的壁深達度 (pT1/pT2/pT3/pT4) が有意に深く (早期再発群: 6%/6%/77%/11% vs. 非早期再発: 46%/16%/37%/1%,P < 0.01),リンパ節転移 (pN0/pN1/pN2/pN3) が高度であった (17%/37%/23%/23% vs. 51%/29%/14%/6%, P < 0.01).リンパ管侵襲 (Ly, 69% vs. 30%, P < 0.01),静脈侵襲 (V, 51% vs. 27%, P < 0.01),壁内転移 (IM, 34% vs. 10%, P < 0.01) を認める症例は早期再発群で有意に多かった.一方,年齢,性別,腫瘍局在,分化度,腫瘍最大径,遠隔転移の有無,食道切除術式,リンパ節郭清領域および郭清個数,再建臓器,手術時間,出血量,Clavien-Dindo分類Grade2以上の術後合併症の有無に関しては2群間に有意な差は認められなかった.Logistic回帰分析による多変量解析では,pT3 (Relative risk: RR = 11),pT4 (RR = 32),Ly陽性 (RR = 2.8),IM陽性 (RR = 2.8)が術後6か月以内早期再発の独立した危険因子であった.
【結語】胸部食道扁平上皮癌術後症例において,pT3以深,Ly陽性およびIM陽性の症例は術後に早期再発を来す可能性が高い.これらの症例では術後補助治療を考慮し,注意深い経過観察を行う必要がある.
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