演題

食道癌術後再発の予測因子と治療戦略

[演者] 松谷 毅:1
[著者] 萩原 信敏:1, 野村 務:1, 藤田 逸郎:1, 金沢 義一:1, 柿沼 大輔:1, 菅野 仁士:1, 新井 洋紀:1, 太田 惠一朗:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科

【目的】JCOG9907の結果から進行食道癌手術における術前補助療法の有用性は明らかとなりつつあるが,術後再発に対する治療戦略は未だ確立していない.当科における食道癌切除後の再発予測因子と治療法を後ろ向きに検討した.【対象と方法】 2011年1月から2015年12月までに当科で施行した食道癌切除術108例中再発群47例と無再発群61例を対象とした.術後検査の間隔は3ヶ月ごとの血液検査と術後3ヶ月,6ヶ月(以降6ヶ月ごと)のCT検査で行った.術前後因子,切除標本の病理組織検査から術後再発と関連する因子を調べた.【結果】術前後因子に関しては,患者背景因子と術前臨床所見に両群間で差がなかったが,再発群の原発巣占拠部位は頚部・胸部上部が有意に多く,病型や進行度も差を認めた(P<0.01).手術所見では,術式,リンパ節郭清領域では差がなかったが,癌遺残度および根治度は差を認めた(P<0.01).切除標本の病理組織検査所見では,組織型,多発癌の有無では差がなかったが,再発群では浸潤形式で浸潤型が多く,脈管侵襲も有意に高度陽性であった.術前補助療法を行った症例では,再発群では治療効果Grade 0が有意に多く,リンパ節転移個数も無再発群が1.0±0.5個なのに対し再発群は3.2±0.6個であった(P<0.01).術後合併症の有無では,予後には差を認めたが,再発の有無とは関係なかった.再発に関するロジスチック回帰分析では,原発巣占拠部位が独立した因子であった.リンパ節単発転移および遠隔転移を含めた局所病変は化学放射線療法(CRT)からSalvage手術さらに光線力学療法(PDT)を行う症例もあったが,多発するリンパ節および遠隔転移,播種病変は全身化学療法を1st lineとして選択し,その後もレジメンの変更のみであった.術後再発の時期は平均3.2±0.6月であり,生存期間中央値は再発群631日,無再発群1553日,5年生存率は18.7%と77.7%であった(P<0.01).【結語】頚部・胸部上部の腫瘍,浸潤型,脈管侵襲陽性,リンパ節転移個数が3個以上,術前化学療法効果がGrade 0の症例は術後再発の可能性が高いことが予測され,腫瘍占拠部位は独立因子である.治療は,局所病変はCRT,手術,PDTなどがあるが,多発病変は全身化学療法が主体でありレジメンも限られているのが現状である.
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