演題

食道癌化学療法中の血清フェリチン値は奏効度を反映する

[演者] 櫻谷 卓司:1
[著者] 田中 善宏:1, 杉山 太郎:1, 棚橋 利行:1, 松橋 延壽:1, 高橋 孝夫:1, 山口 和也:1, 長田 真二:1, 吉田 和弘:1
1:岐阜大学附属病院 第2外科

(諸言・目的)食道癌治療において我々はBiweekly-DCF療法とDGS療法の第2相試験結果を報告してきた.2008年1月から2016年10月までに296例の食道癌の治療を行い,そのうちstage2/3症例へは,術前化学療法としてBi-DCF療法,DGS療法で治療を,遠隔転移例では,導入化学療法を2種類のレジメンいずれかで行い,M1リンパ節陽性症例においてCRを確認した場合,食道切除±化学放射線治療も考慮した.血清フェリチン値は,貯蔵鉄量を反映する他,悪性腫瘍,肝障害,心筋梗塞,感染症,炎症などで貯蔵鉄量とは無関係に増減する.今回,これまでの治療経験の中で,化学療法への奏効度との関連を検討した.(方法)過去8年間での当科での進行食道癌への術前・導入化学療法症例における化学療法前・中・後の血清フェリチン値と,手術標本での病理学的奏効度との関連を検討する.化学療法中の血清フェリチン値の推移を4つのパターン(パターンA:正常値-上昇-正常値,パターンA':正常値-上昇-正常域ではないが下降,パターンB:正常値-正常値-正常値,パターンC:正常値-上昇-上昇)に分けた.推移の傾向の比較をRidit分析,有意水準5%で評価した.(結果) パターンA 35例 (Stage 1が1例,2が4例,3が 24例,4が6例),パターンA'15例 (Stage1が0例,2が1例,3が12例,4が2例),パターンB 11例 (Stage1が 0例,2が 3例,3が 6例,4が2例),パターンC 21例 (Stage1が 1例,2が 0例,3が13例,4が7例).病理学的奏効度(Grade3/2/1b/1a)は,パターンAで11/16/ 3/ 5,パターンA'で3/ 6/ 2/ 4,パターンB で0/ 0/ 1/10,パターンCで0/ 0/ 1/20であった.統計学的にBとCに差はなく(T値=0.3436),AとA'は,BとCに対し有意な変化となった(T値=6.71,-5.23と6.72,5.67).(考察・結語)化学療法中の血清フェリチン値が上昇し,下降するパターンでは,Grade2以上の奏効度が77.1%と60%(パターンAとA')であるのに対し,不変と上昇(パターンBとC)では0%であった.腫瘍崩壊のレベルを反映する可能性が推測され,化学療法の奏効を予測できる可能性が示唆された.
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