演題

WS09-3

切除可能膵癌に対する集学的治療における術前治療の重要性

[演者] 長井 美奈子:1
[著者] 赤堀 宇広:1, 木下 正一:1, 中村 広太:1, 山田 高嗣:1, 野見 武男:1, 北東 大督:1, 安田 里司:1, 金廣 裕道:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【目的】当科では膵癌予後向上を目指し集学的治療を行ってきた.今回,切除可能膵癌に対する術前治療の意義を明らかにするため,後方視的に検討した.
【方法】2006-14年に経験した膵癌に対する膵切除238例のうち,膵癌取り扱い新規約に則って,Borderlineを除く切除可能膵癌181例を対象とし,術前治療施行(NAT)例と手術先行(SF)例の2群にわけて比較検討した.
【結果】内訳は男性106例,女性75例で,年齢の中央値は69歳(36-87)であった.手術術式は膵全摘7例,膵頭十二指腸切除術99例,膵体尾部切除術74例,膵中央切除術1例,門脈合併切除48例(27%)であり,NAT群は86例,SF群は95例であった.NAT群において門脈合併切除はSF群に比して有意に多く施行され(34 vs. 20%,P=0.044),R0切除率はNAT群がSF群に比して有意に高かった(93 vs. 81%,P=0.027).生存期間中央値(MST)はNAT群では53.8Mであり,SF群の33Mに比して有意に予後良好であった(P=0.004).GradeB/C膵液漏の発生はNAT群でSF群より有意に少なかった(4.7% vs. 13.7%,P=0.032).予後因子解析において単変量解析では手術先行,輸血,術後補助療法非完遂,T3/4,リンパ節転移,R1/2が有意な予後不良因子であった.多変量解析では手術先行(HR:1.58,P=0.028)と術後補助化学療法非完遂(HR:2.48, P<0.0001)が独立予後不良因子として明らかとなった.また,術後補助化学療法完遂例は91例,非完遂例は90例で,MSTはそれぞれ58.1M,22.9Mであり完遂例で有意に予後良好であった(P<0.0001).さらに術後補助化学療法の完遂はNAT群で62%,SF群で40%とNAT群で有意に完遂率が高かった(P=0.005).術後補助療法非完遂の危険因子解析では手術先行,Alb<3.5,T3/4,R1/2が独立危険因子として明らかとなった(P=0.003,P=0.001,P=0.023,P=0.048).
【結語】切除可能膵癌において,術前治療は膵液漏減少と関連し,さらには術後補助療法完遂とともに予後延長に寄与する可能性が示唆された.
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