演題

当科における胸部食道癌術前DCF療法の治療成績と有害事象の検討

[演者] 松本 知拓:1
[著者] 菊池 寛利:1, 廣津 周:1, 村上 智洋:1, 尾崎 裕介:1, 川端 俊貴:1, 平松 良浩:1, 神谷 欣志:1, 坂口 孝宣:1, 今野 弘之:1
1:浜松医科大学医学部 外科学第二

【はじめに】cStage II/III食道癌に対する標準治療はCF療法 (5-FU/CDDP)による術前化学療法(NAC)+手術であるが,その治療成績は十分とは言い難い.現在CF療法とDCF療法 (Docetaxel/5-FU/CDDP)およびCF+放射線療法を比較するNExT試験 (JCOG1109) が進行中であり,DCFによるNAC(NAC-DCF)が期待される.今回,当科で施行したNAC-DCFの治療成績と有用性を報告する.
【対象と方法】2013年6月~2016年11月にNAC-DCFを施行したcStage II/III食道癌40例および,切除可能であった28例について検討を行った.
【結果】1) NAC-DCFを施行した40例の画像的な治療効果は,CR 2例,PR 15例,nonCR/nonPD 5例,IR/SD 1例,SD 9例,PD 8例で,CR+PRは42.5%(17/40)であった.2) PD 8例の後治療は化学放射線療法(CRT)5例,CRT後の切除が1例,治療拒否1例,試験開胸(切除不能)1例であった.3) PDでCRT後に切除を行った1例を除く28例で,NAC-DCF後に食道亜全摘術を施行し,病理学的治療効果判定はGrade 1a: 16例,Grade 1b: 6例,Grade 2: 4例,Grade 3: 2例であった.当科のCF療法の治療成績(Grade 0: 4/29,Grade 1a: 21/29,Grade 1b: 2/29,Grade 2: 1/29,Grade 3: 1/29)と比較し,DCF療法の組織学的治療効果は良好であった.4) NAC-DCF 40例71コースのうち,Grade 3以上の白血球減少を47.9%(34/71)に,Grade 3以上の好中球減少を57.7%(41/71)に認め,16症例に発熱性好中球減少症(FN)を認めた.FNを認めた群は栄養状態の指標が低い傾向にあり,コリンエステラーゼは有意に低値であった.また,栄養介入の有無によるFNの発生率を検討したところ,深達度T3以上の症例において栄養介入群で有意にFNの発生率は低値であった.
【結語】DCF療法はより強力な抗腫瘍効果が期待され,有用なNACの選択肢の一つとなり得る.一方,特に栄養状態が不良な進行例ではFNをはじめとした有害事象の発生率が高く,栄養介入などによる発症予防が重要である.
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