演題

術中隣接臓器浸潤(T4b)と診断,R0切除を断念した食道癌症例の検討

[演者] 岡 大嗣:1
[著者] 神尾 幸則:1, 野村 聡:1, 福田 峻:1, 田中 洋一:1, 川島 吉之:1, 坂本 裕彦:1
1:埼玉県立がんセンター 消化器外科

2012年1月より2016年11月までの間,食道癌の根治的切除を目的に当院で施行された外科的手術において,術中隣接臓器浸潤(T4b)と診断し,R0切除を断念した9例を検討した.
3例は術前に放射線照射の加わった症例であり,うち2例が根治的化学放射線療法後のサルベージ手術であった.それぞれ試験開胸,バイパス術を施行した.1例は術前補助療法としての化学放射線療法施行後で,非治癒的食道切除(腫瘍は一部遺残)を施行した.これら3例は,いずれも術後半年を待たずに失った.
残る6例中,術前補助化学療法後の5例には非治癒的食道切除を3例に,バイパス術を2例に施行した.1例は術前未治療の1例(残食道癌)で,非治癒的食道切除を施行した.いずれも術後経口摂取可能となり,放射線照射を加えることができた.4例は生存中であり,失った2例の術後生存期間はそれぞれ10ヶ月,1年であった.
治療開始からの生存期間は,術前照射の加わった3例ではいずれも1年未満であり,術前未照射の6例では,4例で1年以上,残る2例も生存加療中である.
食道癌治療においては,隣接臓器浸潤の有無の診断に難渋する症例にしばしば遭遇する.これらの症例に対し,後の根治的切除の希望を残しつつ,術前補助療法として,あるいは根治目的に化学放射線療法を加えることがある.しかし真にT4bであった場合には,照射を加え根治が得られなかった場合,照射を加えなかった症例に比較してその予後は厳しく,照射後の手術適応の判断にはより慎重を期す必要があると考えられた.
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