演題

根治的放射線化学療法後の胸腔鏡下サルベージ食道切除術の治療成績と問題点

[演者] 竹村 雅至:1
[著者] 中尾 英一郎:2, 小澤 りえ:2, 瀧井 麻美子:2, 海辺 展明:2, 仁和 浩貴:2, 菊池 正二郎:2, 篠原 尚:2
1:南大阪病院 消化器外科, 2:兵庫医科大学医学部 上部消化管外科

食道癌に対する集学的治療の発達に伴い放射線化学療法の治療成績が向上し,食道温存を目的に根治的放射線化学療法(dCRT)の適応症例も増加している.これに伴いdCRT後の遺残・再発例に対するサルベージ食道切除の件数も増加しているが,本術式は高侵襲で在院死亡も高率な手術として報告されており,施行する施設も限定されている.我々は以前よりサルベージ食道切除術の手術侵襲軽減のため,胸腔鏡下食道切除術をサルベージ手術にも適応し,その有用性について報告してきた.現在,33例のdCRT後の胸腔鏡下サルベージ食道切除術を経験したのでその治療成績と問題点について検討した.(症例)2016年12月までにdCRT 後の33例(男性:28例,女性:5例,年齢:60.5歳)に対して胸腔鏡下サルベージ食道切除術を適応した.dCRT前の進行度は,I/II/III/IV:4/3/11/14例であった.dCRTから手術までの期間は71.5日であった.全例で胸腔鏡下に手術を開始したが,2例で開胸移行した.腹部操作も29例で腹腔鏡下に行った.手術時間は342分(胸部122分)で,出血量は315ml(胸部100ml)であった.術後合併症としては,縫合不全が11例(33%)に発症し,さらに1例は退院後に遅発性に縫合不全を発症した.肺炎・無気肺は3例(9%)のみであった.郭清リンパ節個数は21個で,9例に転移を認めた.R0切除は30例で可能であった.術後在院日数は34.5日で,2例は在院死亡した.16例が再発し,3年・5年生存率(OS)はそれぞれ49.8%・39.8%で,Cause specific survivalな3年・5年生存率(CSS)は53.4%,42.7%であった.R1,2例はR0 例に比べ有意に予後不良で,治療前StageIVの症例は予後が悪い傾向にあった.(結語)dCRT後のサルベージ食道切除術は,集学的治療の発展に伴って今後さらに症例数が増加すると思われ,食道外科医にとって回避することはできない必須の外科手術となる.サルベージ食道切除術を胸腔鏡下に行うことで術後肺炎は低頻度となるが,治療成績の向上のためには予後不良なR1,2手術を避けるための画像診断能の向上と,縫合不全を減少させる再建法の工夫が望まれる.また,治療前StageIVの症例に対するサルベージ食道切除術の適応は慎重にするべきである.
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