演題

術前化学放射線治療効果が及ぼす食道切除後症例の成績に関する検討

[演者] 宮地 正彦:1
[著者] 内野 大倫:1, 山中 美歩:1, 倉橋 真太郎:1, 松村 卓樹:1, 大澤 高陽:1, 齊藤 卓也:1, 石黒 成治:1, 小松 俊一郎:1, 佐野 力:1
1:愛知医科大学医学部 消化器外科

【目的】術前化学放射線治療(CRT)によりダウンステージし,pCRとなる症例が存在する.pCRとなる症例の要因や術後経過を知ることは今後のCRT後の手術適応を考えるうえで貴重な情報となる.今回われわれはT3以深の食道癌に対し,CRTを行い,根治度Aの手術を行い,摘出標本病理結果でのCRTの効果判定により,術後の転帰にどのように差が生じるのかについて検討した.【対象】2005年から2014年に31例に対し,術前CRTを行い,3カ月以内に根治度Aの手術を行った.摘出標本の病理結果で食道癌原発部,リンパ節においてもGrade3であった10例(Grade3群:男9例,女1例,53-79歳)において治療前のstage,治療内容,術後経過を治療効果Grade2であった9例(PR-2群:男8例,女1例,54-71歳),Grade1であった12例(Grade1群:男11例,女1例,45-78歳)と比較検討した.【成績】CRT前のT分類はGrade3群でT3 8例,T4 2例で,Grade2群ではT3 8例,T4 1例で,Grade1群では全例T3であった.N分類はGrade3群でN0 1例,N1 2例,N2 7例で,Grade2群でN1 2例,N2 6例,N3 1例で,Grade1群でN0 1例,N1 6例,N2 5例あった.stage はGrade3群ではII1例,III7例,IVa2例,Grade2群ではIII8例,IVa1例で,Grade1群では全例IIIであった.化学療法はFP療法,S1-CDDP療法がGrade3群で3例,7例,Grade2群で4例,5例,Grade1群で5例,7例であった.放射線治療の照射野は全例I字で,線量はGrade3群で40Gy3例,50Gy4例,60Gy3例,Grade2群で40Gy4例,50Gy2例,60Gy3例,Grade1群で40Gy5例,50Gy6例,60Gy1例であった.治療後から手術までの期間の中央値はGrade3群では52日(15-68日),Grade2群では33日(14-88日),Grade3群では38日(14-78日)とGrade3群で長く,術前CRTは1ヶ月以降に効果を増すことを示唆した.手術は全例右開胸開腹食道亜全摘術で,郭清範囲はGrade3群では3領域8例,2領域2例,Grade2群では3領域6例,2領域3例,Grade1群では3領域8例,2領域4例であった.Grade3群では術後化学療法施行例はなかったが,Grade2群では3例に,Grade1群では6例にFP療法を施行した.術後3年生存率はGrade3群100%,Grade2群56%,Grade3群56%であった.
【結語】T3症例に対するCRTで32%にGrade3,pCRになり,cT3,cN1-2であっても,全例術後再発はなく,良好な成績であった.Grade2では44%,Grade1では41%が癌死した.手術時にpCRであることは予後が良好であることが示唆された.
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