演題

当院における根治的放射線化学療法後の食道切除術(サルベージ治療)の検討

[演者] 松三 雄騎:1
[著者] 白川 靖博:1, 河本 慧:1, 前田 直見:1, 二宮 卓之:1, 田辺 俊介:1, 野間 和広:1, 西崎 正彦:1, 香川 俊輔:1, 藤原 俊義:1
1:岡山大学大学院 消化器外科学

近年,食道癌に対して初回治療として根治的放射線化学療法が適応される症例が増加してきている.しかし,この症例のうち約半数に局所の遺残または再発がみられ追加の治療(サルベージ治療)が必要になると言われている.今回,当院での根治的放射線化学療法(dCRT)後の食道切除術施行例の治療成績について検討した.
(対象と方法)2010年5月から2016年11月までの根治的放射線化学療法後に食道切除を施行した23例を対象とし,周術期治療成績・生存率などを検討した.
(結果)対象は男性:18例,女性:5例で,年齢は65歳であった.占居部位はCe/Ut/Mt/LtAe:4/4/11/4例で,CRT前進行度はⅠ/II/Ⅲ/IV:2/2/5/14例で,CRT後遺残が18例,再発が5例であった.術式は胸腔鏡下が8例,開胸が15例で,腹部操作は9例が腹腔鏡下(HALS)で行われていた.術中に重篤な合併症はなく,16例で根治度Aの手術が可能であった.1期手術が18例,2期分割手術が5例で,再建臓器は胃管が18例,空腸が2例,胃管+遊離空腸が2例で,再建経路は胸壁前:11例,胸骨後:6例,後縦隔:5例であった.平均手術時間は558分,平均出血量は405mlであった.CRTの組織学的効果判定ではGrade1が5例,Grade2が6例,Grade3が9例(不明3例)であった.術後合併症は16例に認め,縫合不全が3例,反回神経麻痺が9例(根治のため切除例が4例,術前より麻痺症例が1例),肺炎が7例に認めたが,気管壊死は認めなかった.在院死亡は1例(術後32日目に永久気管孔からの出血)認めた.無再発生存例は9例あり,そのうち7例で根治度Aの手術が行われていた.術後3年以上経過した症例では生存率は40%(4例/10例)であり,死亡例は11例で1年以内に8例,2年以内に全例が亡くなっていた.
(まとめ)サルベージ食道切除術は,放射線照射による組織の繊維化のために難易度の高い手術であり,術後合併症の発生頻度が高い傾向にあるが,安全な手術は可能であり術中の重篤な合併症は認めなかった.根治的放射線化学療法にて組織学的CRが39%(9例/23例)で認められており,StageⅣの症例が半数以上を占めているにも関わらず予後は比較的良好であり,今後の集学的治療の発達に伴い,サルベージ手術にて根治度Aの手術をおこなうことで長期生存が期待できる.
詳細検索