演題

食道癌根治的化学放射線療法後のサルベージ手術症例の検討

[演者] 神尾 幸則:1
[著者] 福田 俊:1, 岡 大嗣:1, 野村 聡:1, 江原 一尚:1, 山田 達也:1, 川島 吉之:1, 田中 洋一:1, 坂本 裕彦:1
1:埼玉県立がんセンター 消化器外科

【はじめに】食道癌根治的化学放射線療法後の遺残や再発に対するサルベージ手術は根治の望める治療であるが,通常の食道癌手術よりも危険性が高いことや,治癒切除例では予後の改善が得られるものの非治癒切除となる頻度も高いことから,その適応には慎重な判断が必要である.今回,当院においてサルベージ手術を施行した食道癌症例の治療成績を報告する.【対象と方法】2004年から2014年の11年間に当院で食道切除を伴うサルベージ手術を施行した食道癌症例18例を対象とし,その特徴や手術成績,生存率を後ろ向きに検討した.【結果】治療前の臨床病期はStage Iが2例,Stage IIが5例,Stage IIIが7例,Stage IVaが3例,Stage IVbが1例であった.化学療法はCDDPと5FUを併用した症例が13例(72.2%)で最も多く,照射量はほとんどの症例で50Gyから60Gyの範囲であった.18例中13例(72.2%)でCRを得た.サルベージ手術の理由は局所再発が11例(61.1%)で,その内の3例にはリンパ節再発も認めた.主病巣の癌遺残が3例,化学放射線療法後に多発食道癌を発症した症例が2例,高度の狭窄のために手術となった症例,肺との瘻孔形成のために手術となった症例がそれぞれ1例であった.癌遺残症例3例の化学放射線療法前の壁深達度はT3であった.化学放射線治療終了から手術までの期間の中央値は7か月で,最短で2か月,最長は127か月であった.手術は18例中14例(77.8%)が胸腔鏡下手術で,胸腔内の癒着のために開胸に移行した症例が1例あった.縦隔鏡補助下手術が3例,胸骨縦切開アプローチの手術が1例であった.10例に3領域郭清を施行した.2領域郭清を8例に施行し,その内の3例については上縦隔の郭清は省略し,右気管支動脈を温存した.手術時間の中央値は683分,出血量の平均値は404gであった.1例を除きR0手術を施行できた.術後に,吻合部縫合不全を2例(11.1%),再建胃管壊死を1例,気管壊死を1例に認めた.肺炎は2例(11.1%)に認めた.サルベージ手術を施行してから3年以上経過した症例については,3年生存率は50.0%であった.治療前の臨床病期がStage IVで3年生存を得た症例はなかった.【まとめ】食道癌根治的化学放射線療法後のサルベージ手術においては,腫瘍の完全切除が可能な症例であれば予後が期待できる.一方,重篤な合併症をきたすことも少なくなく,これらを防ぐための手術を考慮することが必要であると思われる.
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