演題

cT4食道癌に対する導入DCS療法の有効性の検討

[演者] 下地 英明:1
[著者] 西巻 正:1, 狩俣 弘幸:1, 中村 暘二:1
1:琉球大学大学院 消化器・腫瘍外科学

【目的】これまで我々はprospective cohort studyの結果を基に,cT4食道癌の予後規定因子はR0切除で,R0切除が根幹的治療であることを報告してきた.今回,2013年よりcT4食道癌に対する導入化学療法として採用したDocetaxel/Cisplatin/S-1(iDCS)療法の有用性を,以前に施行した5-FU/ADM/Nedaplatin(iFAN)療法との比較で明らかにする.
【方法】2002年より当科では,cT4食道癌に対してR0切除率向上を目的に前向きcohort研究として各種導入療法を試みてきた.2002年~2006年は5-FU/ADM/Nedaplatin(iFAN)療法を2コース,2006年~2013年は 5FU/Nedaplatin (or Docetaxel)+40Gy~66Gy(iCRT)を施行し,2013年からはDCS療法3コースを導入した.これらの導入療法のうち導入化学療法としてのiFAN群17例とiDCS群18例の2群で治療成績を比較検討した.iFAN群,iDCS群のc-Stage 3/4は各々3/14, 1/17で有意差は無いもののiDCS群で進行した症例が多かった
【成績】奏効率はiFAN群35%:iDCS群83%(p=0.006) と有意にiDCS群が良好であった.grade3以上の有害事象はiFAN群47%:iDCS群61%(p=0.505)とiDCS群で高率であったが有意差は無く,予定治療完遂率はiFAN群65%:iDCS群89%(p=0.121)と有意差は無いもののiDCS群で良好な結果であった.切除率はiFAN群59%:iDCS群67%(p=0.733),R0切除率はiFAN群47%:iDCS群61%(p=0.505)で,有意差は無いもののiDCS群で良好であった.術後合併症率はiFAN群50%:iDCS群75%(p=0.378)とiDCS群に高頻度であったが有意差は認めなかった.一方,手術関連死亡はiFAN群に2例認めたが,iDCS群では認めなかった.全例での5年生存率はiFAN群12%:iDCS群45%(p=0.029)とiDCS群で有意に良好であった.
【結論】cT4食道癌に対する導入化学療法としてのiDCS療法はiFAN療法に比べ,奏効率,R0切除率ともに高く,5年生存率も有意に良好な結果であった.iDCS療法は,cT4食道癌に対する有望な導入療法の一つと思われる.
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