演題

進行食道癌に対する3剤併用術前化学療法の短期成績

[演者] 西田 正人:1
[著者] 佐藤 靖祥:1, 三ツ井 崇司:1, 八木 浩一:1, 愛甲 丞:1, 山下 裕玄:1, 森 和彦:2, 野村 幸世:1, 瀬戸 泰之:1
1:東京大学附属病院 胃・食道外科, 2:三井記念病院 消化器外科

進行食道癌に対する5FU,シスプラチンによる術前化学療法の有効性はJCOG9907の結果から標準治療として推奨されているが,Stage III以上の症例の生存率向上は十分ではない.これに対し,ドセタキセル,5FU,シスプラチンを用いた3剤併用療法(DCF療法)は良好な奏効率を示し,より強力な補助療法になりうる可能性を示してきた.当院では2012年7月より多数のリンパ節転移を認める症例を中心に術前DCF療法を導入し,以降cStageIIIで明確な多臓器浸潤のない進行食道癌症例に,DCFを2コース施行後に右開胸開腹食道切除および3領域3郡リンパ節廓清を適応してきた.
2012年7月から2016年5月の間術前化学療法としてDCF療法を行った31例のうち,食道扁平上皮癌29例を対象として,その安全性,治療効果,短期成績を報告する.
DCF療法後のRECISITによる臨床的奏効率は全体で34% (CR1例,PR9例),cStageII/IIIで31%であった.一方,臨床的PD率は14%(4例)で,このうち3例は食道切除を行えなかった.有害事象では血液毒性が高頻度で,好中球減少Grade3/4は79%,発熱性好中球減少も28%であった.
食道切除26例では,術前化学療法終了後平均32日で手術を施行した.郭清リンパ節個数は平均65個で,R0切除率は81%(R0/1/2がそれぞれ21/2/3例)であった.組織学的評価では,Grade1b以上は46%(12例),Grade3 (pCR)は3.8%(1例)であった.
術後合併症率は46% (12例)で,縫合不全2例,呼吸器合併症2例,嗄声2例を認めたが,Clavien-Dindo分類でGradeIII以上は15%(4例)であった.在院死亡はなく,術後在院日数は中央値22 (15 - 179) 日であった.
DCF療法によって好中球減少は高頻度であったが,周術期有害事象の増加を認めなかった.手術成績も当科の従来症例と比較して劣っていなかったが,病理学的治療効果はJCOG9907の結果より明確な改善はなかった.
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