演題

高度リンパ節転移を伴う進行食道癌に対する術前化学放射線療法の有用性に関する検討

[演者] 村上 健太郎:1
[著者] 阿久津 泰典:1, 上里 昌也:1, 早野 康一:1, 加野 将之:1, 松原 久裕:1
1:千葉大学大学院 先端応用外科学

(背景)手術単独群と術後化学療法群を比較したJCOG9204と術前と術後化学療法群を比較したJCOG9907という2つの試験結果を受け,現在,切除可能なStageⅡⅢ胸部食道癌に対して,術前化学療法+根治手術が本邦における標準的治療として位置づけられるようになった.しかしJCOG9907のサブグループ解析にてStageⅢ症例群では術前化学療法の優位性が示されておらず,さらなる強力な術前補助療法が望まれている.特に頸胸腹の3領域に及ぶ,もしくは5個以上の高度リンパ節転移を伴う症例は予後不良であり,当科では1998年より同対象に対し術前補助化学放射線療法を施行してきた.術前補助化学放射線療法は有望な治療戦略であるが,特に高度リンパ節転移を伴う症例に焦点をあてた本邦からの報告は少ない.今回この治療成績について報告する.(目的)当科における術前補助化学放射線療法の安全性および有効性について検討する.(対象と方法)対象は2000-2015年に当科にて術前補助化学放射線療法後に根治切除を行った41例.cT1b/2/3/4aが3/2/35/1例,cStage3/4aが26/15例であった.術前に放射線療法40Gy(2Gy×20fr)および化学療法(5-FU:500mg/m2×5days, CDDP:15mg/m2×5days)を施行した後に根治切除を行った.比較対象として同時期の手術単独症例128例,術前補助化学療法(FP:800/80mg/m2)症例85例を用いた.(結果)まず安全性について検討した.術前補助化学放射線療法によるGrade3以上の有害事象は白血球減少が32%で認められたが,術前治療完遂率は95%であった.周術期合併症として肺炎9.8%,縫合不全12%,反回神経麻痺12%を認め,手術単独群と比較し縫合不全のみが有意に高い結果であった.次に有効性について検討した.Grade3の病理学組織学的奏効を20%に認め,術前化学療法による2.4%に比べ有意に高かった.高度リンパ節転移を伴うにもかかわらず術前補助化学放射線群における5年全生存率は45%という良好な結果であった.(結語)術前補助化学放射線療法は有害事象の発生頻度や手術への影響の面では安全に施行可能であった.原発巣への抗腫瘍効果のみならずリンパ節への効果も高く術後のリンパ節再発を抑制できる可能性がある.有効な治療戦略の1つであるが,適応や最適な化学療法レジメンなど一つ一つ検討していく必要がある.
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