演題

頚部アプローチ上縦隔郭清における術前3D-CTAの有用性

[演者] 荻野 真平:1
[著者] 小西 博貴:1, 塩崎 敦:1, 藤原 斉:1, 小菅 敏幸:1, 小松 周平:1, 市川 大輔:1, 岡本 和真:1, 有田 智洋:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学医学部 消化器外科学

【目的】我々は非開胸での食道癌根治切除を目的に,縦隔鏡を用いた頚部単孔アプローチによる上縦隔郭清手技を導入している.縦郭鏡を持いた上縦隔リンパ節郭清を行う際には,特に大動脈弓下における臓器の位置関係や気管支動脈の走行などの解剖は複雑で,variationも認められるため術前の把握が重要となる.今回,術前に3D-CTによる評価を行った症例について,気管支動脈の走行と3D-CTAの意義について検討した.

【方法】2014年10月~2016年11月に頚部アプローチでの上縦隔郭清を目的に術前3D-CTAを施行した56例を対象として,左/右気管支動脈(LBA/RBA)の走行と食道,大動脈,気管気管支との位置関係を確認し,上縦隔郭清に対する3D-CTAの有用性を検討した.気管支動脈(BA)の走行形態を,大動脈直接分枝型 (S),肋間動脈共通幹型 (IC-BT),左右共通幹型 (CT)に分類し,本数・起始部 (弓部/下行大動脈)・RBAと食道との位置関係 (食道腹側/背側横断)などについて評価した.

【結果】RBAについてはS/IC-BT/CT: 19/34/12例,本数1/2本: 48/8例,弓部/下行起始: 15/48例,食道腹側/背側: 26/33例であった.LBAについてはS/IC-BT/CT: 50/2/11例,本数1/2/3本: 48/7/1例,弓部/下行起始: 8/55例であった.RBAに関しては比較的多くのvariationを認め,特に弓部起始で食道腹側を走行する症例も多く認められた.

【考察】RBAは通常,食道背側で肋間動脈との共通幹を形成する症例が一般的と考えられているが,食道腹側を走行する症例も多数認めた.術前にBA走行に関して十分な把握を行い特に解剖が複雑となる大動脈弓下では,シーリングデバイスを用いた十分な止血・切離が予期せぬ出血の回避に重要であると考えられた.

【結論】術前3D-CTAによるBA走行形態の把握は,縦隔鏡を用いた頚部アプローチでの上縦隔郭清を安全確実に行う上で有用であると考えられた.
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